微熱のある午後

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微熱のある午後

びねつのあるごご
[短編] 偶然のきっかけから解放された美しい叔母への嗜虐欲。貞淑な人妻が性の暴力に乱れる。

 講義がつぶれて手持ち無沙汰になった大学生の昌一は東京で小説家として成功している叔父の南雲啄也夫妻を訪問しようと思いたつが、叔父の不在を妻の南雲麻樹子から聞かされて、にわかに抑えがたい欲望を煽られる。高校生以来、姉のような年頃の美しい叔母に密かな憧れを抱いてきた昌一は、この偶然の好機を生かして麻樹子を襲撃しようともくろんだのだ。夫が不在の隙に若妻を遊びに誘い出して酒に酔わせた不逞の甥は、帰り着いた自宅で無防備に倒れこんだ叔母に襲いかかり欲望を解き放つ。気を許していた甥の恐るべき変貌ぶりに動転し叫びたてながら、若々しい人妻は為すすべもなく裸に剥かれ、暴きだされた女体の秘密を破廉恥な写真に撮られていく。夫に顔向けのできない不義を強いられて絶望と諦念に憔悴した人妻が翌朝までなぶり抜かれているとき、予想もしなかった夫の早い帰宅がおぞましい破滅を招く。

女性キャラ

南雲 麻樹子 (なぐも まきこ)
人妻
20代後半

南雲啄也の妻。昌一の義理の叔母だが「姉さん」と呼ばれる。三十歳近く、子供なし。
処女 従姉妹 伯叔母 近親 勝気 内気 異人
剥衣 撮影 恥毛 排泄 肉欲 膣交 淫具 菊門 拘束 射精 口唇 因縁 打擲 強要 虐待 刻印

場面

麻樹子
【001】気品ある美貌の叔母 [ 1 ] 麻樹子
【002】甥の仕掛けた罠 [ 2 ] 麻樹子
【003】暴虐な女体剥衣 [ 3 ] 麻樹子
【004】崩れていく人妻の肉 [ 4 ] 麻樹子
【005】爛れた不義の寝床 [ 5 ] 麻樹子

あらすじ

【001】気品ある美貌の叔母 [ 1 ]
叔父の妻となった美しい女性への秘めた欲望が、成長した大学生のうちで燃え上がった。
 大学の講義が休講となり空き時間をもてあました大学生の昌一は、新進作家である叔父の南雲啄也を訪ねようと思いたつ。故郷にいた頃から昌一が兄のように慕っていた啄也は賞をとって成功すると東京に出て、今は妻とともに新築の家で暮らしているのだった。高校生の頃に新婚旅行から帰ったばかりの叔父夫婦に会った昌一は、新妻の麻樹子の清潔な美しさに蠱惑され、それ以来叔母へのただならぬ愛着を心に秘めるようになっていた。南雲邸に電話をかけた昌一は、啄也が偶然にも泊まりがけの取材旅行で不在であることを麻樹子から聞き、とっさに思いついたまま麻樹子をディスコに誘う。仲のよい甥からの誘いを麻樹子は快諾し、久しぶりの再会と食事に心を弾ませるが、すでに性の遍歴を重ねてきた昌一の胸中には、美しい叔母の思いもよらない計画が秘められていた。

【002】甥の仕掛けた罠 [ 2 ]
強い酒を飲まされて酩酊した美女は脱力した体をソファに縛られて愛撫の手に晒される。
 六本木のディスコからカフェバーにまわってカクテルを飲んだ後、昌一と麻樹子はタクシーで南雲邸に帰宅する。カフェバーで昌一の誘導により強いカクテルばかり飲まされた麻樹子は、酔いがまわって昌一をもてなすこともままならずソファに倒れ込む。さらにウォッカを仕込んだコーヒーを昌一から与えられて飲みほした麻樹子は、立っていることもできぬほど酩酊して着衣のままでソファベッドで眠り込んだ。服を脱ぎ捨てた昌一は用意しておいたロープを持ちだすと、麻樹子の両腕を広げてソファにくくりつけ、意識のない美女の唇を奪いながら麻樹子のドレスを上体から脱がし降ろしていく。愛撫のさなかに眼を覚ました麻樹子は、思いもかけない昌一の行動に狼狽してあらがおうとするが、両手を縛られた我が身の現状にようやく気づいて恐ろしい現実を意識する。

【003】暴虐な女体剥衣 [ 3 ]
哀訴もむなしく裸にされた美貌の叔母は、嗜虐性を露わにした甥の暴力の下で泣き咽ぶ。
 麻樹子は昌一を厳しくたしなめる言葉も無視されて両足首に縄をかけられ、それをベッドに掛けまわされて大股開きに拘束される。大の字になった人妻は黒のニットドレスを裾からまくり上げられ、もがき暴れるのもむなしくベージュのボディスーツ姿に剥かれる。両手の縛めを解かれた麻樹子はドレスとともにボディスーツもむしり取られ、パンティ一枚の裸身を再び大の字に拘束し直される。乳房まで曝した美しい叔母を見下ろしながら、昌一は哀訴する歳上の美女の頬を張り飛ばして嗜虐欲を満たしていく。麻樹子は乳房を乱暴に揉みなぶられながら股間の秘裂をパンティの上からいたぶられ、羞恥と苦痛に涙を噴きつつソファの上に跳ねまわる。

【004】崩れていく人妻の肉 [ 4 ]
開脚縛りの女体が淫具で責められ写真に撮られる。貞淑な人妻は肉の凌辱に堕ちていく。
 最後のパンティも脱がされて全裸にされた麻樹子は肘掛け椅子に乗せられ、両手と両脚を肘掛けに乗せて縛られたうえ上体を斜めに倒して下腹を突き出した無惨な開脚姿を写真に撮られる。あまりの恥辱に酔いも醒めはててうなだれる麻樹子は、昌一が持ちだしたグロテスクな淫具の振動を乳房に押し当てられて淫らな性感に悶える。あからさまに曝した秘裂を指でくつろげられた麻樹子は、やがて振動する淫具を深々と秘肉に埋められて汚辱に泣き叫ぶ。女体の芯に淫具を咥えた浅ましい姿を写真に撮られた麻樹子は、抜かれた淫具の代わりに昌一の硬直した男根で貫かれて責めあげられていく。乳房とアヌスを巧みにいたぶられつつ揺すりあげられた人妻は、肉の悦びに敗れてすすり泣きながら腰を振り始めるのだった。

【005】爛れた不義の寝床 [ 5 ]
叔母と甥の背徳の情交は翌朝まで及んだ。淫欲に乱れる若妻の前に帰宅した夫が現れる。
 麻樹子はSM用の黒革の胴着を着せられて床に転がされ、胸元の刳り抜きから絞り出された乳房を足蹴にされていたぶられる。アヌスバンドを装着された麻樹子は、尻に挿入されたゴム製の嘴管から石鹸液を注入されて汚辱にのたうつ。衝きあげる便意に苦しみ抜いた果てに、麻樹子は洗面器の上にしゃがみこんで惨めな排泄の姿を曝した。
 なぶり抜かれた果ての麻樹子は全裸をがんじがらめに縛られ、夫婦の寝室のベッドで昌一に抱かれて夜を明かした。後ろ手縛りにされたうえ体じゅうにロープを巻かれて棒のように伸びた麻樹子の体は、疲弊しきって眠り込んでいるところを昌一に弄ばれて否応なく快美に反応していく。秘裂に指を差しこまれて官能を崩された人妻は、明け方の薄明かりの中で再び甥の怒張に貫かれて肉欲に溺れ込み、全身を汗にまみれさせて女の悦びに没頭していく。だが、人妻と甥との許されぬ情交の現場を、予定外の時間に帰宅した夫が寝室の入口で茫然と見つめていたのだった。

書籍

マドンナメイト『愛奴を狩れ』版 [1987]
愛奴を狩れ 「微熱のある午後」
サラブックス『愛奴を狩れ』版 [1983]
典拠
愛奴を狩れ 「微熱のある午後」

掲載誌

S&Mフロンティア 1979(昭和54)年6月号 p. 67-84 啜り啼く花びら 絵・楡畑雄二 単行本未収録部分を含む 確認済

単行本未収録部分

 本作の初出は「S&Mフロンティア」誌(1979年6月号)掲載の「啜り啼く花びら」であるが、1983年にサラブックス版『愛奴を狩れ』に収録されるに際して、描写が一部修正された。雑誌版にあった浣腸責めの場面が削除されたほか、物語の結末に関する大きな修正がおこなわれている。この修正は、1987年のマドンナメイト版『愛奴を狩れ』でも踏襲されている。

雑誌版からの改変

1. 第1節
 叔父の不在を知って麻樹子をディスコに誘う場面で会話がいくらか省略され、単行本ではやや簡略になっている。また、昌一が麻樹子を誘うディスコは雑誌版では新宿だったものが、単行本では六本木に変わっている。その少し前に、「大学に入ってからすぐに、昌一は同郷の先輩に新宿を飲み回され」という記述もあるが、この部分は単行本でも新宿のままになっている。

2. 第2節
 昌一と麻樹子のその夜の遊興コースが書き換えられている。

 新宿で食事をし、スナックで酒を飲み、ディスコで踊り、カクテルを何杯か飲んだ二人は、タクシーで南雲家まで帰ってきたのだった。
「S&Mフロンティア1979年6月号」p.71、2節

 六本木で食事をし、ディスコで踊ったあと、はやりのカフェ・バーでカクテルを何杯か飲んだ二人は、タクシーで南雲家まで帰ってきたのだった。
単行本サラブックス版 2節

 麻樹子を酔わせたカクテルは、雑誌版ではディスコで飲んだことになるが、単行本ではディスコの後のカフェ・バーで飲んだことになる。その後の記述も辻褄が合うように修正されており、明確な意図のある変更だとわかる。

3. 第2節
 帰宅した麻樹子が酔って眠り込んだ直後の描写が、単行本では削除されている。

 部屋の温度をあげるべく、ルームエアコンのスイッチを入れた。ホームバーからブランデーのボトルをとり、チューリップグラスに入れてゆっくり掌で暖めながら飲み始めた。やはりブランデーの香りはいつかいでもよかった。
 快いブランデーの酔いを味わいながら、昌一は麻樹子の美しい寝顔に見いった。ほっそりした品のいい鼻筋、酔いでバラ色に染った頬、綺麗にセットした髪の前髪が少し乱れて白い額にかかっていた。びっくりするほど長い黒い睫毛は、よく見るとフランス人形のようにカールしている。
 どこかで見た顔だな、と思っていた昌一は、彼女の寝顔を見てやっと思いだした。つい最近見た映画の『ベルサイユのバラ』に出てくるフランスの新人女優の顔にどことなく面影が似ているのだった。テレビの化粧品のコマーシャルでも、毎日のようにお目にかかっていたのだった。

「S&Mフロンティア1979年6月号」p.73-74、2節

 麻樹子が似ているという女優は、1979年の実写映画『ベルサイユのばら』で主演(オスカル役)したイギリスの女優、カトリオーナ・マッコールと推察される。資生堂化粧品のテレビCMにも出演して話題になった。

4. 第4節末尾
 雑誌版にはなかった記述が、単行本で書き加えられている例もある。

 濡れた男の指先がアヌスに這いこんできて、体の動きにあわせて蕾のなかで動きはじめたとき、麻樹子はあまりの感触に悦びですすり泣きはじめていたのだった。
「ああっ……だめよ、昌……ちゃ……ん」
 やがて、昌一の硬直したものが、麻樹子のザクロ色の花びらを散らして、深く分けいっていくと、麻樹子の唇から、拒絶の叫びがこぼれたが、それもしだいに消えいるようにとぎれ、昌一の狂ったような体動にからみつく甘い喘ぎに変わっていった。

単行本サラブックス版 4節

 雑誌版の第4節は「(……)啜り啼きはじめていたのだった。」で締めくくられており、単行本にある最後の二文が存在しない。

5. 第5節冒頭
 雑誌版第5節の前半は、SM用の革装具を着けさせられた麻樹子が浣腸されて洗面器に排泄させられる場面だが、単行本ではこの場面がまるごと削除されている。単行本の第5節が不自然に短いのはこのためである。削除された場面の文章量は相当多いが、浣腸責めとしては平凡で、アヌスバンドで肛門を塞がれる以外は通常の浣腸責めである。

 黒い胴着に絞りあげられた麻樹子の下腹部が、心もちふくらんできたと見えた頃、ゴロゴロと彼女の腸が鳴り始めた。
「もう、やめて……おトイレに……」
 あまりの苦しそうな呻き声に、さすがの昌一もゴムの握りから手を離した。
 見ると、麻樹子の顔色は血の気を失ってすっかり蒼ざめ、美しい眉をひそめて、必死に生理現象と闘っている様子が、無惨ですらあった。
 指をそろえて昌一が、下腹部を革具の上から押すと、
「うぐ……」
 体を胎児のように丸めて男の手から逃れようとする。
「おトイレに……」
 それだけ口にだすのも苦しそうだった。とっくに限度にきていて、ふつうなら洩らしているところだが、アヌスバンドがぴったりと肛門を塞いでいるため、それだけは免れていた。

「S&Mフロンティア1979年6月号」p.82-83、5節

6. 第5節末尾
 浣腸責めから一行空けを挟んで始まる目覚めの場面が物語の締めくくりとなる。単行本版ではこれが第5節の冒頭にあたるが、その時間帯に関して、雑誌版では「夜中」、単行本では「朝」という違いがある。そしてこの差異が、物語の結末の違いにも関わってくる。

 ゆっくりと腰を動かし続ける昌一の脳裏を、野口五郎のヒット曲、送春曲の一節がよぎって消えていった。
 泣いて眠り 話して眠り
 そしてぼくらは一つになった……。

「S&Mフロンティア1979年6月号」p.84、5節末尾

 ゆっくりと腰を動かしつづける昌一の視野のすみに、寝室の入口で茫然と立ちすくむ、叔父、南雲啄也の姿が入った……。
単行本サラブックス版 5節末尾

 雑誌版では馴れ合いの情交が続いていきながらフェードアウトするのに対して、単行本では、朝になって帰宅した叔父が情事の場面を目撃するという衝撃的な展開で物語が締めくくられる。最後の一行で物語をひっくり返したこの結末は、単行本収録に際しての改変だったことになる。

 当サイトはサラブックス版を典拠とするが、雑誌版の浣腸場面の内容を取り入れて第5節のあらすじを加筆した。ただし物語の結末については、単行本版(露見エンド)のほうが完成度が高いと考えて、修正しないこととした。(2025-11-02)

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