ちぐさ文学館

場面
性獄への招待 [ 12-3 〜 12-5 ]

<28>性獄への招待
『姦のカーニバル』 <<前へ 次へ>>
 数日後、不貞をはたらいた女たちの運命を見せるため徳麿は知世を伴って山荘へ戻った。秋も近い高原の冷涼な空気のなかに徳麿とその財産をめぐる各人の思惑が交錯する。徳麿と修平に連れられて地下室へ降りた知世はゴメスに迎えられ、そこに待つ運命の凄惨さを未だ知らぬまま、徳麿の死に殉ずるべき女たちを全裸で閉じ込めた闇の檻部屋へと案内される。明かりもろくに届かぬ檻の奥に白い肉をうごめかせていた裸の女が首鎖を曳かれてその顔を曝されるのを見たとき、それが失踪を騒がれていた美人女優・淀貴美子のなれの果てと知って知世は驚愕と恐怖の悲鳴を上げる。戦慄しながらさらに絞首台室とギロチン室を見せられた知世は、拷問室で後ろ手錠を徳麿の車椅子の前に引き据えられて再び問い質される。修平と密通したという前言を守り通して徳麿を苛立たせる知世の姿のうちに、修平は知世が徳麿の誠意を試そうとしていることを見てとった。
 
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