ちぐさ文学館

場面
クラブ「妖」の秘密 [ 6-8 〜 6-10 ]

<18>クラブ「妖」の秘密
『淫狼』 <<前へ 次へ>>
【年末】
 再就職のための猶予を許されて香川邸に暮らす太一は、青山にある筑波葉子のクラブ「妖」を偵察し始める。神秘的な雰囲気で表面を偽装された喫茶店の奥に隠された寝室の存在を知った太一は、鏡だらけの部屋に覗きの仕掛けの存在を感じ取る。
 太一の推測どおり、そこは葉子が素人たちの痴戯を覗き見て罠にはめるための施設であった。ベッドの上で愛戯に励むカップルの男の方が野獣用の麻酔銃で眠らされると、残された女の方は会員の老人たちによってたかって凌辱されたうえ、全裸のまま生贄ショーへと引き出されるのだ。
 クリスマスイブの夜、大学生のボーイフレンドに処女を与えるつもりで「妖」の部屋に連れこまれた高校三年の処女・倫子は、頭巾を着けた四人の男に踏み込まれ、正体もなく眠らされた恋人の前で処女を代わる代わる犯されて狂乱する。後ろ手錠の全裸に鎖付きの足枷を嵌められ、スポットライトに照らされた舞台の上に引きずり出されて処女を穢された体を見せ物にされる倫子。淫靡なショーは、男根を屹立させた磔刑のキリスト像の上に尼僧姿の処女の白人少女がまたがらされていく残酷な凌辱劇で幕を閉じる。翌朝、クラブからひそかにマンションへ戻る女主人・葉子の姿を、張り込んでいた太一が捉えた。
 
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