病に臥せっている間、男爵は一度だけ奥方と令嬢の見舞いを受けていた。普段は姿を見せずに暮らしている牢屋敷の奥から、執事の恭介に導かれて男爵の寝床に現れた奥さまとお嬢さまの浮世離れした高貴な美しさに、綾子は圧倒される。豪奢な晴着をまとった理知的な和装の美夫人とセーラー服のお下げの美少女に、男爵さえもが気を呑まれていた。 処刑儀式で膣に傷を負った久子の回復が遅いのに焦れた男爵は、頻繁に静を呼び出して責める。自分の情婦を専有されて不満を洩らす浄海和尚に、男爵は綾子を貸し与えることを約束した。牢屋敷の居間に全裸を天井から吊られ、爪先立ってよろめく静の柔肉を野村が竹刀で打ち据える。その足元では丸裸を後ろ手に縛られた綾子が、和尚の怒張を咥えさせられて苦鳴をこぼしていた。快楽を貪ってもなお尽きることのない男爵の情欲は、千草に見立てた静を拷問蔵で木馬責めにかける新たな妄執を生み出していく。 |
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