2011/07/21
あき子は美しい顔に玉の汗を浮かべて唇を噛みしめる。それを覗き込みながら、吉井は深く抉った。
「いいぞ、その要領だ。のみ込みが早い」
褒美といわんばかりに、左手で剥いたしこりを擦ってやった。
「あ、うむ……」
「なんだ、もう気をやるつもりか」
反り返ってブルブル腹を慄わせるのを見て、吉井は手を止めた。
「こらえるんだ。客を楽しませるのが先だってことを忘れるんじゃない」
「で、でも……」
「デモもストもあるか」
口惜しげに歯を噛みならすあき子を見やりながら、吉井と浩治は声を合わせて笑った。
参考:デモンストレーション
参考:ストライキ