ちぐさ文学館

場面
兄妹の悪夢 [ 7-1 ]

<17>兄妹の悪夢
『快楽病棟』 <<前へ 次へ>>
 性宴が果てて自室に戻され再びベッドに固縛された道也は、凄惨な辱めにのたうち泣き叫びながら穢されていった実の妹の無惨にも美しい裸体を、脳裡から追い払えずにいた。醜い老人をはじめ何人もの男たちに犯されたであろう美香の運命を思って憤りに煩悶しながらも、汚し尽くされる妹の姿を妄想して背徳的な相姦の欲望に衝かれていく道也。いっぽう汚辱の果てに処女を奪われぬまま風呂を許された美香も、淫劇の舞台となった〇〇四号室のベッドに首輪ひとつの全裸を鎖でつながれて、兄の前で晒した汚辱の記憶にうなされる悪夢の夜を過ごしていた。
 こうして兄の犯した密通の罪は無垢の妹をも巻き込み、高貴の血筋の美しい兄妹は閉ざされた病棟の暗い地下檻に全裸で拘禁される奴隷の境遇へと堕ちた。淫猥な老人の飽くなき快楽の贄となった綾部美香は、始まったばかりの幽閉の日々が、丸裸で囚われた無垢な女体の上にどれほど苛酷な女の性地獄を用意しているのか、まだ知るよしもなかった。
 
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