道人にいたぶられる日々のなかで藍子は女の肉の魔性を呼び覚まされ、月に一度の水野との倒錯の情事では目覚めさせられなかった被虐の陶酔に沈んでいく。道人は気をやらせた藍子をあぐらにまたがらせ二度目の絶頂に突き上げながら、SM娼婦として完成しつつある美人社長に、水野との情事を盗み聞かせることを承諾させる。
水野が訪れた日の夜、美しく着飾ってTホテル八〇六号室へ赴いた藍子は、せわしない愛撫とともに怒張を咥えたまま服を脱ぐよう命じられる。盗聴を意識して昂ぶりながら奉仕に励んでいく藍子の見違えるほどの艶めかしさに、眼を瞠ってからかう水野。腰巻一枚の裸を緊縛された藍子は床柱に立ち縛りにされ、たわむれの訊問で情人の名を問い詰められる。腰巻をはずされ、鞭で脅されながら柱の根元に尻を落としてMの字に開脚させられた藍子は、道人に調教され尽くした体を水野に吟味される不安におののきながら服従の言葉を口にする。柱から解かれて水野の腰にまたがった藍子は、水野を欺く後ろめたさを媚態の中におし隠して、腰を振りながら喜悦に昇りつめ失神した。