【二月末から三月】その後、ともども堀の情婦にされているはずのみゆきとその母の幸せな姿をデパートで見かけて、由起子は女の性のまがまがしさに打たれる。三月のある夜、水谷の屋敷に呼び出された由起子は享子と矢崎の結婚を知らされ、敗北の屈辱に泣きわめく。恋人を奪われ凌辱され尽くした果てにライバルの父の情婦となって玩弄される屈辱に慄えながらも、水谷と芳江の二人がかりで裸に剥かれ、大の字に縛られて残酷な快楽責めにかけられる由起子の肉体は、淫らな快楽の反応をこらえることができない。しかしその情交を最後として、水谷は脳卒中で命を落とした。