夕暮れの六本木の街を、Kと呼ばれる初老の男が若い青年と連れだって歩いていた。落ち着かなげな青年をよそに、道行く美しい女たちを眺めまわしていたKは、正面から歩いてきた美しいファッション・モデルの若い女の左手の薬指にはめられた鉛色の指輪に眼をつける。呼び止められ、Kの指にはまる同じ指輪を見せられた女は、驚愕と絶望の哀願もむなしくKの言うなりになってホテルへと連れ込まれる。逆らうこともできずに泣きながら裸になった女は、椅子に掛けたKの怒張に舌を差し伸べてみじめな奉仕を捧げながら、拡げた股間が濡れそぼっているさまを連れの青年に覗きこまれる。同じ指輪をしていることを示して見せるだけで美しい女を完全に隷属させてしまうKの鉛色の指輪こそは、これからKが青年を誘い込もうとしている、選ばれた者たちの世界に属する証であった。
ある会社の社長秘書を務める鳥飼英子は、フィアンセの高瀬一郎と一週間の休暇旅行を過ごすため、浮き立つ気分で土曜日を迎えた。新婚旅行にも等しい恋人との二人きりの旅行に心躍らせる英子は、行き先をはぐらかして答えない一郎の態度に興味をそそられながら、迎えに来た外車に数人の男たちが同乗していることを不審に思いつつも同乗する。だが、一郎の謎めいた愛の告白の直後、英子は両脇に座った男たちに両手を捻じり上げられ後ろ手錠を掛けられて戦慄する。驚愕して一郎を問い詰める口を猿轡でふさがれ、恐怖に涙を噴きこぼして暴れる英子は、冷酷に見つめる一郎の眼の前で、男たちに体を撫でまわされて身悶える。欲情をあらわにし始めた男たちと恋人の眼差しを信じられぬ思いで見つめながら、英子はむなしく服を剥かれていくしかなかった。スリップ一枚の裸に剥かれて眼隠しをされた英子は、男たちの卑猥な視線に無防備な女体を曝しながら、どことも知れず運ばれていく。やがて停まった車から降ろされた英子が眼隠しをはずされて見たのは、森の中に建つフランス風の城館であった。哀訴の呻きを噴きこぼす英子を無視して一郎が立ち去った後、引きずられるようにして城館の中に連れ込まれた英子は、奥の部屋でくつろぐ主人・Kの前に引き出される。会員Jと呼ばれる高瀬一郎の依頼により、従順な女になるための教育を受けさせられることになったと宣告された英子は、激しい拒絶を剥き出しにしてあらがう。だが、そのような拒絶を口にしなくなるまでこの館に閉じ込められ調教される女奴隷の運命が、いまや奴隷ジェイと呼ばれることになった鳥飼英子の上に始まっていたのだ。英子の調教係として呼び出されたのは、邪鬼と名乗る猿のように短躯の男であった。