老人は壮年時代に、知り合いの社長の秘書としてパーティーで知り合った志津に心を奪われた。大蔵大臣の後見を受けていた旧華族の美貌の令嬢に恋心を募らせた老人は莫大な金にものを言わせて志津を娶り、新築した屋敷で新婚生活を送るが、親子ほども年の違う新妻は三年後、大学時代の恋人と駆け落ちして姿をくらました。老人は自嘲と落胆を装いつつ暴力組織の力を借りて志津の行方を捜し出し、不義の妻を連れ戻す。恋人の男を処分し、その男との間に設けていた志津の娘を里子に出した老人は、離れ座敷の押し入れに鉄格子をはめて作った檻に全裸の妻を閉じこめ、ほしいままに凌辱し責め抜いた。恋人の死を告げられた志津は檻の中で舌を噛み切って果て、老人の復讐欲に壮絶な抵抗を示したのだった。
妄念に憑かれた老人はいま、しゃれこうべの中に巣を張り卵を産んだ雌蜘蛛の姿を、高校卒業を来年に控えて成熟しつつある由香の姿に重ね合わせる。由香は養女の名目で里親から引き取り、何も知らせずに育ててきた志津の娘であった。養女として育てながら数々の女体玩弄を見せつけてきた由香に対して、同じ破瓜の運命を手ずから与えることが、老人の胸に巣くった妄念だったのである。