帰京から十日ほど後、竜二郎は華子・百合子母娘の浅ましい裸身を撮り尽くした写真の現像を携えて男爵の屋敷を訪ねる。新型のドイツ製写真機が写し取った数十枚の写真には、性器を剥き出しにして縛られたまま女郎にも劣る無惨な奉仕にはげむ母娘の卑猥な全裸体が、余すところなく記録されていた。渾沌をきわめる世情のさなか女衒の生業に精を出す竜二郎は、カメラの貸し主の好色家で軍需成金の林謙介との会合を男爵にもちかける。いっぽう百合子の婿取りの算段に奔走する男爵は、竜二郎の身持ちを正して婚姻の許可を得る算段を立てていた。今後に企んでいる女たちへの淫靡な責めを語り合って悦に入る二人。地下牢監禁を許されて再び屋敷に住んでいる敦子が、互いに何も知らぬまま華子と対面させられたことを男爵から明かされて、竜二郎は好色な興味を募らせる。