縄目の跡は繊細な雪肌に淡紅色のギザギザを刻んで、首すじから背中に伝わり、細腰をめぐり、腰のえくぼのあたりから尻たぼのあわいに消えている。
市の政財界の黒幕で瑞泉寺の門徒総代でもある竹原勝正老人は、良道にとって逆らうことのできぬ恩人であった。父の死後、老人に大学の学費まで出してもらって瑞泉寺の跡を継いだ良道は、かつて新婚に際して公卿の血を引く美貌の新妻・柳子を凌辱されて怒りと不満をくすぶらせながらも、その後もたびたび妻を老人の伽に差し出す屈辱に甘んじていた。老人から秘かに聞かされた話により好色だった父・良海の死の真相を知ったことが、良道をこの頽廃的な境遇に繋ぎとめてもいたのである。
泰江を送り出して居間に戻った良道を、老人の慰みから帰ったばかりの柳子が迎える。問責する夫の前で老人から受けた責めを報告させられて惨めさに呻き泣く柳子は、命じられるまま和服を脱いで二十五歳の白い女体をさらけ出す。丸裸のまま座敷へ連れ込まれた全裸の人妻は、鴨居の下に四肢を拡げてX字に拘束され、老人から受けた責めの名残を検分されつつ責めの一部始終を問い詰められる。柳子は鞭で尻を打たれながら、バイブレーターと老人の肉で繰り返し絶頂を極めさせられた痴態を残らず白状させられていった。
ふたたび二本の燭台明りだけにもどった納骨所の四本柱の三本に、それぞれに美しい裸形をさらして、三人の女が立位で縛りつけられている。
穢し尽くされた瑤子は絵美の手で剃毛され、屈辱に泣きわめきながら無毛の女体へと堕とされた。良道は蝋燭だけを灯した納骨堂で、柳子と絵美、そして瑤子を丸裸で柱を背負った立ち縛りにする。裸身をくまなく曝したまま猿轡を噛まされ恥辱にうなだれる女たちを残して、良道は招いておいた竹原老人を迎えに出る。新しい女を探り当てる遊びと称して、眼隠しさせたまま老人に女たちの裸形をなぶりまわらせることが、良道の復讐のたくらみであった。淫虐な父の悪行を聞かされたうえ、実の父に素肌を玩弄されるという血も凍る恥辱を前にしてがっくりとうなだれる瑤子。老人の愛娘に禁断の辱めを与えようとする良道もまた、老人が良道の母をなぶりものにして生ませた実の子であることを、寺に住む老いたおしん婆さんだけが知っているのだった。