啜り泣きながら、かほりは汗まみれの体をしゃにむに揺さぶりたてている。
背徳の欲望に憑かれた英一は新人歌手の城野かほりを杏子のクラブに連れ込む。妖しい快楽の世界に幻惑され媚薬入りの酒を飲まされたかほりは、淫靡なショーを見せられながら愛撫されて濡れそぼった体を部屋に連れ込まれる。英一はいやがるかほりを打擲して屈服させ、縄で後ろ手に縛り上げて天井から吊るし屈辱的な歌唱練習を強いる。いましめを解かれた体を椅子に掛けた英一の股間に跪かせ、怒張を握りしめてしゃぶらされるかほり。英一の精を呑まされたかほりは全裸を大の字にしてベッドに縛られ、振動するバイブを官能に火照る体じゅうに這わされる。焦らしたてられて錯乱したかほりは振動を挿入されて責めたてられると凄惨な快楽の絶叫をあげながらのたうちまわり、激しい絶頂の痙攣とともに失神した。この世のものならぬ快楽に蠱惑される英一は、その快楽の先に、かれの愛する女たちを酸鼻な運命に落とすための残忍な罠が待っていることを、まだ知るよしもなかった。
城野かほりが歌手としてタレントとして開眼した陰には「某テレビ局の某プロデューサー」がいて、彼との愛欲がかほりに女性歌手としてのあり方を教えたというのだ。
電話は城野かほりからの仕事の愚痴であった。疲れきった様子のかほりとの電話を適当に切り上げて安芸子との愛戯に戻った英一を、翌朝、かほりのガス自殺の知らせが待つ。売れっ子アイドルの自殺の動機もわからぬまま、芸能界に広がってゆく大きな波紋。だが一週間後、プロデューサー「H」にマゾの快楽を教え込まれたアイドル歌手「K・S」の、頽廃と荒淫の果ての死を暴きたてる週刊誌が出回る。真相近くに迫られて不安と苛立ちに落ち着かない英一に電話をかけてきた杏子が、かほりの死の真相を探りまわる兄の存在を英一に告げる。安芸子の破瓜の一件以来、杏子にかすかな警戒心を抱いていた英一だったが、手がかりを求めて杏子の誘いに応じる。