【十一月三日夕刻】二十七歳の誕生日を迎えた翌日、結婚記念日でもある文化の日に、三田光子は来春の夫婦ヨーロッパ旅行のために銀座のデパートで着物を選んでいた。夫の昌也との先夜の愛戯を思い起こしてひとり頬を火照らせながらデパートを出た光子は、夫からの迎えの使者と称する男に呼びとめられ、止めてあった夫の車に疑うこともなく乗り込む。三田光子が地上世界から姿を消す前の最後の瞬間となったその場面を、はっきりと目撃していた者は他に誰もいなかった。
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【夜】車に乗り込んだ途端に同乗の男に当て落とされた光子は、後ろ手錠に目隠しをされたままソファの上で目覚める。怯えに叫びたてる光子は二人の男に引き立てられて広い屋敷の奥座敷に連れ込まれる。引き据えられて目隠しをはずされた光子の前には、来島と名乗る老人が座っていた。法律事務所を構える夫の昌也が闇の組織を裏切ろうとした罪を告げるられ、夫婦ともどもなぶり殺しの制裁を告げられた光子は、初めて知る事実に混乱しつつ必死に許しを乞う。夫の命を救うために老人の奴隷になることを要求された若妻は、汚辱の運命を受け入れる覚悟もできぬまま、着物姿に腰縄を打たれ、コンクリートの地下室へと連れ込まれる。ソファに座らされた光子の正面のマジックミラーを通して、「なぶり殺し」の運命がどんなものかを思い知らしめる凄惨な情景が現れる。
マジックミラーの向こうの部屋では、一組の全裸の男女が地獄にも等しい責め苦にのたうっていた。鞭痕を刻んだ体を天井から逆さ吊りにされた男が、体中から滴る血で頭の下に血だまりを作りながら緩慢な死を待たされ、その傍の床に敷かれたマットレスの上では、白い裸体を後ろ手に縛られた若い女がヤクザの男二人がかりの凄まじい輪姦凌辱を受けていた。男の一人が女の下肢を抱えて激しく責めたて、もう一人の男が女の髪を掴んで荒々しく口を犯すのを、周囲ではさらに三人の別の男が順番を待って眺める。精根尽き果てて力なく揺さぶられるばかりになっている女もまた、朝まで犯し抜かれたあとは男の隣に逆さ吊りにされて殺される運命なのだ。口を犯していた男が欲情を弾き込んだのを機にやつれ果てた女の顔が曝しあげられると、光子は、その男女が夫の腹心である西村秀行と新妻の小夜と知って絶望の慟哭を噴き上げる。つい一年前に結婚し、三田家とは家族ぐるみで付き合いのあった西村夫妻もまた、昌也の裏切りの巻き添えとなって捕らわれたのだ。新婚間もない若妻には奴隷になる選択さえ許されず、泣いて許しを乞うたのにも構わずなぶり殺しの運命を与えられていた。俯伏せにされた小夜は腰を立てさせられて後ろから犯され、汗と脂にまみれて崩れる腰を繰り返し引き起こされて、顔をこちらにねじ向けられたまま責められ続ける。噛みしめた唇からこらえきれぬ歓喜の呻きが噴き上がる。じきに殺されると知り、夫の眼前で輪姦されてなお、肉の悦びにのたうちまわらなければならない女の運命のおぞましさに、光子は言葉を失うばかりだった。
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座敷に連れ戻された光子は恐怖と絶望に気力も萎え果てて、来島老人の奴隷になることを誓う。昌也が、激しい暴行を受けぼろぼろになって拘束された姿で座敷に引き込まれる。夫の眼前で再び奴隷の誓いを強いられた若妻は、老人が剥き出しにした魁偉な怒張の前に引き据えられ、わななく口に肉塊を押し込まれていく。吊られた夫の眼前で、呻き泣いてみじめな奉仕にはげむ後ろ手錠の光子の体から、結婚指輪と美しい着物が外し取られていく。美貌と気品にあふれる羞じらい深い若妻は、純白のパンティ一枚に剥かれた体を後ろ手に緊縛され胸縄と首縄で締めあげられる。俯伏せになって尻をもたげさせられた光子は、パンティを剥き下ろされて曝した尻に気ままな鞭をたたき込まれて苦痛に泣きわめき身悶える。鞭痕を刻んだ尻を両手に抱えた老人は二十七歳の若妻の肉を深々と貫き、飽くことのない抽送で責めたてていく。情感を押し殺そうと努めるのもむなしく、老人の強靱な抽送で否応なく昂ぶらされていく光子の肉体。肉欲に灼かれる雌のけだものに堕ちた若妻は、汗まみれになって号泣しながら繰り返し絶頂を極めて痙攣し、淫らな呻きを吐き散らした果てに失神した。たたき起こされた光子はくたくたになった体を老人の股間に引き据えられ、おのが愛液にまみれる怒張を清めさせられながらあらためて奴隷の服従を誓わされる。たった一度のすさまじい凌辱で貞淑を剥ぎ取られた若妻は、奴隷の運命を受け入れて老人に対する媚の風情を身にまとう。いましめを解かれパンティ一枚を与えられて、命じられるままに夫の衣服を剥ぎ取っていく光子には、今日の夕刻までの羞じらい深い人妻の面影はもうなかった。
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