声も使わずテレパシーで淳たちに意思を通じたウルトラマン姿の異界人は、二人を促して車に乗せると、追いすがってきた刑事とガードマンを異界の視線で次々と打ち倒し、脳を灼いて記憶を奪う。追跡者たちを路上に悶絶させた異界人は淳たちを乗せた車を運転して黒い車の後を追いながら、新たな標的となった女の身の上を説明する。戦前より由緒ある四条家の当主の次女でG大学の二年生になる四条薫子は、日本を代表する富豪の花嫁候補に挙がったことから、キャンパスが開放される学園祭の機会に野次馬やカメラマンにつきまとわれていたのだった。選ばれた高貴な犠牲者に対する畏れにとらわれる淳をよそに、異界人は白金台の私邸に向かう薫子の車に追いすがる。くすぶり続けてきた数々の疑問を投げかけた淳は、異界人が仲間とともに未来世界からやって来た未来の人類であることを聞き出すが、凌辱され拉致された女たちがどのような境遇に堕とされているのかについて確答を得ることはできない。薫子の車の運転手に働きかけて人気のない路地に車を止めさせた異界人は、淳と佐々木に指示して、金縛りにされている薫子を車に連れ込ませる。異界人の能力に支配されて恐怖にわななく女子大生が二人の男に挟まれて後部座席に乗せられると、車は、上流社会の幸福から永久に引き離されることとなった美しい姫を汚辱の運命へと運び去る。女の甘い汗の匂いを放って慄えながら、高貴な花嫁となるはずだった良家の令嬢が曳き込まれていく辱めの舞台は、「エンプレス(王妃)」の名を冠した目黒のSMホテルであった。