男爵の屋敷で奴隷にされていた没落華族の娘・久子は、綾子と出会う前の忠夫の初恋の美少女であった。戦後、父のシベリア抑留によって困窮した久子とその母は揃って男爵に身を売り、母娘ともども淫らな弄びに晒されていたのだ。男爵は「山ン寺」こと浄光寺の浄海和尚と通じて、母親が住まされた烏ノ森の中の通称「別荘」へと足繁く通い、久子とその母をむごたらしい母娘丼にかける日々を送っていた。そのいっぽう、綾子と久子を毎夜のように侍らして乱淫にふける男爵は、悪夢の中にたびたび現れる古い時代の姫君の亡霊に悩まされ、錯乱の発作にとりつかれる。屋敷に呼ばれた浄海和尚は屋敷の裏手の土牢におもむいて、戦国時代に惨殺されたその女・溶姫の霊を封じ込めようと試みる。なおもおびえる男爵に、和尚はその夜の母娘丼を持ちかける。