東京に戻った私は後日、忌まわしい真実が秘められた父のトランクを開けて、三十年にわたり封印されてきた父の真の姿を暴いていく。ふくれ上がったトランクからは、父が牢屋敷の優秀な執事であったことを偲ばせる品々とともに、錦の袋に入れられた女体責めの道具の数々が姿を現した。しまい込まれていた当時の写真から、お屋敷の奥さま・瑛子と令嬢の芙美子、そして早くして死んだ私の母・縫の面影を私は知る。そして大学ノートにつづられた日記風の手記には、これまでそうと知ることなく私の運命を支配し続けていた酸鼻な血の真実が、恭介の手で克明に記されていた。