大商社であるM商事の本社で受付案内係をしている入社三年目の戸塚さち子は、自社テレビCMにも出演するほどの美貌を周囲から羨望されつつ、社内のエリート・宮前清司との結婚を秋に控えて幸福の絶頂を迎えていた。だが、春が近づいてきたある夜、婚約者との逢瀬のあとで家路についたさち子は、ひとけのない通りで二人の男に襲撃される。マスクで顔を隠した男たちはさち子をナイフで脅し、車の中に押し込んで連れ去る。後ろ手錠をかけられたさち子は目と口をふさがれて恐怖にわななきながら、幸福な生活が暗転する汚辱の一夜を迎えようとしていた。