重松に犯し尽くされてくたくたになった体をさらに悟郎に責め抜かれてからようやく解放された香代は、その後一週間、想像を絶する凌辱が貞淑な人妻の身に残した蹂躙の衝撃に耐えかねて呆けたように日々を送っていた。ひとり娘の眼にさえ不審と映る脱力感をたたえながら、香代は自分を穢し尽くし口淫という想像もしなかった淫技を強いた正体も知れぬ中年男の肉の記憶に苛まれる。ひと月が過ぎ、夏を迎えてようやく忌まわしい記憶が薄れかけたのを見計らったように、香代の平穏な日常を重松からの電話が打ち破る。再度の逢瀬を求める重松の要求を哀願しながら拒んだ香代に対して、不気味な脅しを残して電話は切れた。
しばらく後、通っているS女学院高校から夕刻に帰宅した香代のひとり娘・弓子を自宅の前で一人の青年が呼び止める。弓子の父の会社の者と名乗った青年は用向きと称して香代への面会を乞い、同行していた中年男とともに家の中へと案内される。娘とともに玄関に現れた二人の男に迎え出た香代が不審をつのらせたのも束の間、悟郎と重松は強引に家に押し入っていた。逃れようとする弓子を悟郎に引き止めさせつつ、初めて香代の前に醜悪な相貌を現した重松は、恐怖に慄えあがる香代に迫る。娘の身に迫る危険を案じて懸命に哀訴する香代は夫との愛を育んだ寝室へと押し込まれて、柱に後ろ手縛りにされガムテープで口をふさがれた娘の前で再度の辱めを迫られる。