その夜、父から預かっていたトランクの鍵を私に手渡した綾子は、鍵を託されるいきさつを明かすのと引き替えに私との情交を求める。三十年の時を経てSM作家となった私はかつて手籠めにした女の体を再び抱くことになった。長襦袢姿で私と絡み合った綾子は緊縛を望んで、自ら用意したロープで後ろ手に緊縛されていく。長襦袢姿を本格的に縛られ、羞じらいにうなだれながら私の怒張に口を使わされる綾子。張形を所望する私に対して、綾子はその道具が父のトランクの中に入っていることを告げ、父の情婦にされていた若き日の真実を明かす。謹厳だった父の秘められた一面の露見に私は唖然としつつ、トランクの中から取りだした張形をあぐら縛りにした綾子の股間にねじ込んで責めあげる。官能に溺れてゆく綾子の口から次々と明かされる秘められた事実の数々が私を猛りたたせる。見下すように嗤う父の幻影を振り切って綾子とつながった私は、父が残したトランクに秘められ、綾子の胸中に隠されてきた秘密の深さを思いながら、かつての初恋の女の熟し切った肉の奥に喜悦の精を放った。