【七月後半】一学期の終わりに持たれた担任教師との懇談会で、雄一の異性関係の乱れを円地槙子先生からとがめられた義母の佐原芙美子は、その夜、周造に相談を持ちかける。槙子を屈服させたことで満悦した日々を送っていた周造は、情婦と本妻とがそうとは知らずに面談した奇妙な巡り合わせに苦笑しながらも、芙美子の愚痴を逃れるために息子を叱ると約束する。そのまま雄一の部屋に赴いた周造は父親の威厳を装って息子の乱行をたしなめるが、いっけん従順だった雄一は、ふいに周造と槙子の秘められた関係のことを切り出して周造を慌てさせる。阿房宮での淫戯を覗き見られていたことを明かした雄一は動揺を抑えきれない父に向かって、あろうことか情婦の交換プレイを申し出るのだった。自分に劣らぬ女誑しへと成長していた息子の開けっぴろげな女性観に鼻白みながらも、周造は、池田母娘の母娘丼の実現という倒錯した欲望と、教え子に責めなぶられる円地先生の痴態への嗜虐的な好奇心とによって、雄一の誘いにまんまと乗せられていくのだった。