月子が連れ込まれたのは、K市近郊の奥まった山間にあるY温泉だった。深山幽谷のなかにたたずむ宿屋に導き入れられた月子は、奥座敷で待っていたその夜の客が、ホステス時代に嫌い抜いていた下卑た中年男・小平だと知って暗然とする。ラブホテルやトルコ風呂をチェーン経営する小平は、月子の借金を全額肩代わりするのと引き替えに、振られ抜いた月子の肉体を思うがままに弄ぼうと待ち構えていたのだ。傍にはべらせた稚い芸妓・梅子の後ろ手に縛られ露わにされた胸元をなぶりながら、小平は、覚悟しきれずに嫌悪と反抗の風情を示す月子を追いつめていく。梅子もまた、宿屋の跡取り娘だったところを宿屋ぐるみ小平に買い取られ、高校を卒業してすぐに芸者の修行をさせられていたのだった。女子大を卒業して一流商社に勤めていたこともある二十六歳の一流ホステスに対して小平が告げたのは、ひと晩かけて卑猥な情欲のなぶりものにされたあげく、その後は借金を返すためトルコ風呂で稼がされるという汚辱の運命だった。下劣さを剥き出しにした小平の振る舞いに嫌悪のあまりその場を逃れようとした月子を、坂上が引きずり倒して後ろ手錠をかける。梅子が小平の怒張をしゃぶらされて淫技に没頭していくのを、髪を掴まれて間近に見せつけられる月子。なおも屈服を拒もうとする月子に陰惨な辱めを予告した小平は、坂上に命じて月子を鴨居から吊らせる。前手縛りにされた両手を頭上に吊り上げられ、爪先立ちに引き伸ばされた美女の肉体は、はかない身悶えにはびくともしない古びた梁の下で、屈辱の踊りを踊るばかりだった。