次の「桃苑会」月例会の余興として企画されていたのは、会員有志による奴隷市場のパフォーマンスであった。会員が奴隷商人に扮して自分のパートナーを競りにかけ、競落した者とパートナーを交換してその夜を楽しもうというのだ。かつての「魔女あらわしの儀」以来、愛人同士となっていた谷口外志夫と上城しのぶは、新たな余興に昂ぶりを覚えて参加を決める。
例会の当夜、会員の早坂浩は新入りの立松由紀枝を伴って余興に興じていた。舞台の上に引きずり上げられた女たちは、売られる奴隷としてそれぞれの趣向を凝らした衣裳を環視の中で引き剥かれ吟味の眼に晒されていく。身売りされた中東の王女、ヤクザに捕らわれた女子高生、駆け落ちの罪を咎められた商家の小町娘が、全裸を曝しものにされて売り飛ばされる。桃苑会の淫らな余興を初めて見る由紀枝は、激しい羞じらいのうちにも妖しい昂ぶりを抑えきれなかった。