大野木圭吾の家の屋根裏部屋には、圭吾のただ一人の肉親である妹の千秋が暮らしていた。良家の娘として二十歳のときに嫁いだ千秋は二十五歳で離縁されて出戻ったのを機に頭の変調をきたし、圭吾に見守られながら放恣な生活を送っていたのだ。春の午後、長襦袢から胸元をはだけて呆けたようにラジオに聞き入っていた千秋は、屋根裏部屋に上がってきた圭吾が外出することを告げると駄々をこねてすがりつき、実の兄に向かって淫らな愛撫を求める。背徳の振る舞いと知りつつ千秋の淫靡な誘惑を退けることができない圭吾は、せがまれるがままに千秋の体を柱に縛りつけ、はだけた胸乳を吸いたてて愛撫する。兄に愛玩されて快美にすすり歔く妹の泣き声は、さながら、おのが頽廃的な運命に対する嘆きのようにも聞こえるのだった。