冷たい音がして、掴まれていた手に手錠がかけられた。
五年前に未亡人となった三十代の綾子は、夫が遺した莫大な財産で贅沢な生活を送りつつ、夫に仕込まれたマゾの性癖をもてあまし、被虐の情感を募らせる日々を送っていた。愛人の武井に会うために盛装してNホテルに赴いた綾子は、エレベーターに乗り合わせた若い男に話しかけられて驚愕する。それは最近、さまざまな場所で綾子の前に現れては得体の知れない視線を投げかけてきていた不審な男だったのだ。わるぶった笑みを浮かべつつ二人きりのエレベーターを途中で止めた男は、すくみ上がる綾子に襲いかかる。男の眼にサドの欲望を見てとった綾子は、弱々しくあらがいながらマゾの本性を暴かれて為すがままにされてゆく。後ろ手に手錠をかけられ、荒々しく愛撫されながら高価な衣裳を揉みくちゃに乱されていく綾子は、濡れそぼつ股間の秘肉に男の手の侵入を許して、肉欲の陶酔に溺れ込んでいった。
化粧の崩れを神経質なくらいに整えた綾子は、ふたたび元の貴婦人然とした容姿にもどって、武井の待つ部屋に入った。
若い男は意外にもあっさりと玩弄を切り上げ、綾子が向かっていた三十六階に着くと同時にあたふたと立ち去った。約束の時間に二十分ほど遅れて部屋に入った綾子は、ひどく酔いつぶれた武井の姿を見出す。綾子は夫の死後、そのSMプレイ仲間だった武井に言い寄られて体を許して以来、愛人として交際を続けてきていた。互いの私事には関わらないという約束にもかかわらず、酔った武井は家庭の不和を綾子にぶちまけて愚痴を洩らす。良家の令嬢との縁談を見つけてやった息子が、婚前交渉の場でその令嬢にSMプレイを強要したうえアヌスの処女を奪ったことから、破約にされたばかりか損害賠償まで請求されているというのだ。SMプレイへの嗜好が遺伝したかのような息子の乱行に心を痛める武井の姿に、綾子は慰めの言葉もなかった。
イヤリングとネックレスだけを許された綾子は後手錠をはめられた素っ裸をみじめに前こごみにさせ、深夜で人気がないとはいえ、いつ目撃されるかもしれないおびえに背筋をふるわせつつ、余熱のくすぶる秘められた唇から冷えた汚辱をとめどなくしたたらせながら、自分の部屋まで小走りに走らされたのであった。
武井の愚痴で情事もままならずに自宅のマンションへ帰宅した綾子は、エレベーターに乗り込もうとしたところで先ほどの男に襲われ、あらがう体を狭いエレベーターに押し込まれる。サドの本性を剥き出しにした若い男は綾子を打擲して屈服させ、着衣を乱した綾子に尻を突き出させて犯す。エレベーターの中で全裸に引き剥かれてから自室に連れ込まれた綾子は、後ろ手錠を嵌められた全裸を男の前に正座させられ、贅沢な調度のただなかにみじめな丸裸でうなだれる。男の暴力的な脅しに屈服した綾子は亡夫が愛用した責め具の数々を引っ張り出され、みじめさとマゾの戦慄にわななく。後ろ手に緊縛されてスツールに俯伏せに押し伏せられた綾子は、張形を秘腔に押し込まれたうえ尻を鞭でしばき上げられて苦痛と快感の悲鳴を噴きあげる。尻打ちで絶頂を極めて男に屈服しきった未亡人は、その若い男が、ほかならぬ愛人の武井のひとり息子・秀郎と知らされて愕然とする。衝撃に泣きじゃくる綾子は床に転がされて秀郎のものをしゃぶらされ、倒錯的な性戯のなかに溺れこんでいくしかなかった。
翌朝、満ち足りた綾子は秀郎の情婦となることを受け入れ、亡夫以外だれにも許したことのないアヌスを貫かれて泣き叫びながら屈服していった。
長い黒い鞭が尻尾のように綾子の体から生えた。
秀郎の情婦となって為すがままに嬲られることに被虐の快感を噛みしめながら、綾子は頽廃的な日々を送る。ある日の午後、秀郎は破約を言い出した婚約者の沙江を、翻意と屈服を強いるためにを綾子の部屋に連れ込んでくる。秀郎が剥き出しにした狂暴さに慄えあがって許しを乞う美少女は、綾子が秀郎の愛人だと知らされて衝撃と屈辱に号泣しつつ、命じられるままに綾子の前で服を脱いでいく。鞭で打たれながら全裸になり、俯伏せになって犯された尻をさらけ出すよう強いられて汚辱に泣き崩れる美少女。体じゅうに鞭痕を刻まれた果てに屈服してアヌスを曝した沙江は、スカートをまくった綾子の尻を眼の前に突きつけられ、快楽の器官と化した女の尻を目の当たりにして衝撃に言葉もない。綾子が秀郎のものに口で奉仕するのを見せつけられた初心な少女は、やがて後ろ手に縛り上げられた裸身をベッドに追い上げられ、下肢を拡げて固定されたうえ、これから処女を奪われる下腹に剃毛の辱めを受けて、みじめにすすり泣くしかないのだった。
その後、もくろみどおり沙江と結婚した秀郎は、父に秘密で綾子との関係も続けていた。息子の結婚がうまくいったことに気を取り直した武井が、綾子に正式な求婚を持ち出してきたのを、綾子は複雑な気持ちで受け止めるのだった。