黒塗りの大型車は、二人の女の運命を乗せて、朝もやの中を排気音も軽くすべり出した。
完全に言うなりにさせた公子への同情と愛着を日に日に深めていった光子は、何も知らない美しい娘を肉奴の運命から救い出したいと願い始める。公子の美貌を写真で知るボスからの焦れた催促をはぐらかしつつ時を稼いでいた光子は、公子が母の危篤の報を受けて帰省することになったのを好機として、使命に背いて公子を汚辱の運命から逃れさせようと試みた。奴隷の提出期日まであと十日も残っていないある早朝、始発の新幹線で故郷に帰ろうとする公子を車で駅まで送りながら、光子は滞在を長くするよう公子に促す。だが、公子の不在を口実にして致命的な期日をやり過ごそうとした光子の企みを見透かしたかのように、ボスが遣わした二人の男が駅で二人を取り囲む。当惑する公子の前で苦し紛れの言い訳とともに別の女を差し出すための猶予を乞い願う光子を、男たちは嘲笑って一蹴する。公子の美しさを見知ったおおもとの依頼人が、奴隷になる女を差し替えてでも公子を我がものとするために彼らを遣わせたのだった。公子と光子は黒塗りの車に押し込められ、暗黒の運命へと向かって、知るものもなく連れ去られる。
光子と二人暮らしの女子高生の妹・ひとみが、早朝に出かけた姉が戻らないのを不審に思いつつ登校前の朝食をとっているアパートの部屋に、動転しきった様子の男が訪ねてくる。その男の運転する車に光子が撥ねられて病院に運ばれたことを聞かされたひとみは、姉のもとへ向かうため学校を欠席して黒塗りの車に同乗した。後部座席に同乗していたもう一人の男が説明する事故の顛末にかすかな疑念を抱いたのも束の間、ひとみは冷酷さを剥き出しにした男に抱きすくめられる。恐怖と驚愕にすくみ上がった女子高生は、姉が関わっていた仕事と、その裏切りがもたらした結果についてわずかな真実を知らされたのを最後に、口元に押し当てられた薬で意識を失う。罪なき美少女が目覚めてすべての真実を知ることになる時はまた、五十川姉妹にとって終わりなき汚辱の人生が始まる時になるはずであった。五十川光子の裏切りが明らかとなった今、三人の奴隷の最後の一席を埋めるべき未成年の処女として、妹の五十川ひとみが選ばれたのだ。肩までの髪を散らしてぐったりとなった無垢の処女は、セーラー服の下の可憐な乳ぶさを揉みなぶられながら、すでに姉も囚われている闇の世界へと運び込まれていく。
責め棒で、光子のギトギトあぶら汗に光る首すじから鳩尾、のたうつ腹、果ては股の付け根までなぶって、絶えだえな悲鳴を絞り取りながら、佐々木は言う。
男たちの声を間近に聞きながら朦朧とした意識のなかをさまよっていたひとみは、不意に響き渡った姉の絶叫で眼を覚まし、自分がセーラー服姿のまま後ろ手に椅子に縛られスカートを腰までまくり上げられていることを知る。窓ひとつない殺風景なコンクリートの地下室で、怯えるひとみの眼前には、姉の光子が素っ裸にされた体を天井から鎖で両手吊りにされ、伸びきった肉体を床上十センチの空中で躍らせていた。胸にも下腹にも太腿にも刻みつけられた鞭痕に血をにじませ、あぶら汗にまみれた裸形を苦悶にのたうたせる姉の悲惨な裸形をひとみは無理やり正視させられる。ひとみを拉致した二人の男に加えてもう一人の、彼らのボスとおぼしき口ひげの男が、妹への宥恕を必死に哀訴する光子を嘲笑う。過酷な組織の裏切り者にはいかなる言い訳も許されず、生贄の女を逃がそうとした光子は自分の身のみならず無実の妹までをも汚辱の運命の巻き添えにしてしまったのだ。慟哭する光子の前でひとみはいましめを解かれ、セーラー服を脱いで裸になるよう命じられる。羞恥と嫌悪に激しくあらがう美少女を追いつめるように、宙吊りの光子の裸身に厳しい鞭がたたき込まれる。体力の限界に達した女体を宙に跳ね躍らせて苦悶する姉の凄惨な姿に、観念してセーラー服を脱いでいく姉思いの可憐な妹。男のひとり・佐々木がカメラを構えて写真を撮りまくるなか、下着姿になったひとみはみずからの手でブラジャーをはずして無垢の乳ぶさをさらけ出す。苦悶の果てに光子が気絶したのを機に、ひとみはパンティ一枚の裸身をもう一人の男・吉本によって後ろ手に縛り上げられ、乳ぶさを厳しく絞り出された体を椅子に掛けさせられる。光子は宙吊りから降ろされて催淫薬を飲まされ、妹の辱めを見せつけられるべく、再び開脚立ち縛りに吊り上げられる。羞恥にわななくひとみの半裸を抱きすくめてもてあそび唇を吸いたてたボスは、吉本に押さえつけさせたひとみの腰からパンティを剥き下ろし、初心な少女を全裸曝しの恥辱にのたうたせる。肘掛け椅子に掛けたボスの膝の上に前向きにまたがらされた少女は、大きく拡げた脚を肘掛けに乗せ上げられて固定され、羞恥の極みに放心する。意識を取り戻した光子は、今まで多くの女を責め落とすのに使ってきた激烈な淫薬の効果を我が身に感じながら、泣きむせぶ妹の裸形を陶然と見つめる。大きく開いた股間を吉本に覗き込まれて処女であることを確かめられた女子高生は、唇に乳首に内股に這い回るボスの本格的な愛撫に官能を崩され、肉芽を擦りたてられて痙攣する秘肉から透明な愛液をしたたらせながら、淫らなすすり歔きに総身を顫わせてのたうつ。その眼の前では淫薬の刺戟に灼かれて苦悶する光子が、後輩だった佐々木の手で巨大な淫具を焦らすように体じゅうに這わされ、汗にまみれた開脚立ちをゆさぶりたてて快楽の解放を乞い求める。肉の愉悦に支配され理性を崩壊させられた姉は、生まれて初めての性の悦楽を覚えさせられている妹に得意のレズ責めをほどこすよう命じられる。ボスに対する激しい憎しみも激烈な薬の効果に敗れて、光子は錯乱しながら命令を受け入れる。吊りから降ろされ後ろ手に縛られてさらに股間に淫薬を塗りたくられた光子は、狂った雌のけだもののように眼を血走らせよだれを垂らしながら、妹のわななく秘肉に舌をさしのべていく。凄艶な悲鳴を噴き上げて腰を振りたて、姉の鍛え抜かれた技巧で絶頂へと追い上げられていく妹。二つの女の全裸が演じる淫靡な絡み合いは、五十川姉妹にとって、それぞれの凄惨な運命へと堕ちゆく前の最後の肉親のふれ合いでもあった。
「若い者の溜りに放り込んであります」
肉奴の生を歩み始める女たちの痕跡を日本社会から抹消する手筈が男たちの手で着々と進む。乙崎衣絵は情人と駆け落ちして失踪する夫宛の手紙を書かされ、五十川姉妹のアパートも引き払われた。まみえることもなく母を失った若宮公子には、もはや行方を捜し求める者たちの捜索も届かず、木戸の情婦として飼われる運命が待つ。この先少なくとも数年は続く凄惨な呵責が、つい先日まで処女だった美しい娘の若い肉体を、別の女へと生まれ変わらせていくのだ。
異国に売り飛ばされる肉の商品となった三人の女は、厳しい調教に磨き上げられた裸身を柱に立ち縛りにされて、荷造りと搬送を直前にした最後の検分を男たちによって受ける。この一週間の厳しい調教によっていや増した女体の魅力とは対照的に、どの女も絶望のあまり魂までうつろになった瞳を宙に投げて放心しきっていた。死んだように無反応な衣絵、処女膜を再生された身を嘲弄されながら激情にわめく伸子、奴隷に売られる処女の身をガックリとうなだれさせて観念しきったひとみ。この期に及んでも姉の身の上を気づかうひとみは、おのが犠牲の代償として光子の罪が許されたと聞かされて可憐にも安堵の涙をこぼす。光子が若い衆の溜まりに投げ込まれ今もなお輪姦の限りを尽くされているとは、さすがの男たちも口にするのをはばかったのだ。首筋に注射を打たれて意識を失った女たちの裸身が寝袋に押し込まれ、コンテナに横たえられて厳重に施錠されると、日本の女の肉体美の粋を極めて造り上げられた高価きわまる輸出用貨物が完成する。埠頭の倉庫から飛び立ったヘリコプターが海上にある大型貨物船まで運んでゆく三つのコンテナには一つの木箱が添えられて、女たちのアルバムから集められた幼い頃からの日常生活の写真が収められていた。将来の運命も知らずに健やかに成長し、青春を謳歌してきた女たちの幸福な記録は、いまや全裸でハーレムに繋がれる奴隷の境遇へと堕ちた生身の美肉との陰惨な対照をなして、淫虐な権力者たちを楽しませることになるのだ。日本の繁栄と貿易商社の利益とを担った美しい肉の貨物を、異国へ向けて輸送していくヘリコプターの窓からは、まだ暗い明けそめた空を背景に、美しい富士山の姿が浮かび上がっていた。