昭和四十年代のある夜、赤坂の料亭の奥座敷で密談する二人の男の間で、ある非道極まる取引が結ばれようとしていた。中近東との取り引きで莫大な利得をもくろむ貿易商社幹部が痩せたサングラスの男に調達を依頼したものとは、異国の富豪に性の玩弄物として提供するための日本の貞潔な若い女三人――結婚半年以内の若妻、二十代前半と未成年の二人の処女であった。いずれも中流階級以上で、日常生活の写真を付けるという困難な条件に難色を示しながらも、サングラスの男は依頼を受諾する。幸福な良家の子女を誘拐し調教して、異国のハーレムへと売り飛ばすための残酷な計画が、大都会の片隅で動き出そうとしていた。
[ 1-1 ]
夫の海外研修のために新婚二月あまりで別居することとなった二十三歳の新妻・乙崎衣絵は、館と名乗る美貌のセールスマンに一瞬の隙を突かれて一人暮らしのマンションに押し入られる。ナイフで脅され恐怖に泣きじゃくりながら、命じられるままに服を脱がされて貞淑な若妻の裸体をさらけ出していく衣絵。年下の男に打擲され惨めに泣きながら下着まで取り去って全裸になった衣絵は、後ろ手に緊縛され縄に乳ぶさを絞り上げられて被虐の呻きを噴きこぼす。丸裸のまま美容機のサドルに乗せ上げられ、館に撫でまわされながらペダルをこがされた衣絵は、女の急所を責めたてる刺戟に女体の官能を突き崩されていく。やがていましめを解かれてダブルベッドに転がされた若妻は、抵抗する力もなく館に貫かれて貞操を穢され、カメラとレコーダーにすべてが記録されているとも知らずによがり狂うのだった。
数日後、写真とテープをネタに呼び出された衣絵は、車に乗せられ視界をふさがれてどこともつかぬ場所へ連れ込まれる。殺風景なガレージで全裸に剥かれ縄掛けされた衣絵が縄尻を曳かれて鉄階段の先の部屋に引きずり込まれると、そこには、野卑な欲望ににやけた二人の男が待ち構えていた。それが、館に襲われる一週間前に、夫が勤める貿易商社が主催した会合の二次会で立ち寄ったホストクラブの男たちだと知って慄えあがる衣絵。ビデオカメラがまわるなか、衣絵は裸になった男たちの間に引き据えられ怒張を口元に突きつけられて汚辱に泣き叫ぶ。鼻をつままれて脅された衣絵は口腔に生まれて初めての怒張を押し込まれ、無惨な玩弄に女体を灼かれていくのだった。
しばらく後のある日、乙崎衣絵の調教を記録したビデオテープと写真を見せられて金縁眼鏡の太った商社幹部は満悦する。夫婦が幸せな新婚生活を送ったマンションへはもう二度と戻ることのできない美しい新妻は、仕組まれた罠の深さをまだ知るよしもない。こうして狡猾な罠にからめ取られて新妻の貞淑を穢し尽くされ、常軌を逸する肉の調教に呻吟させられる淫虐なビデオと写真をくまなく撮影され尽くした二十三歳の若妻は、肉奴への無惨な転落と引き替えに莫大な富を冷酷な男たちの手元に残すために異国へと輸出される、一体目の美肉へと仕立て上げられることになったのだ。
[ 1-2 ]
地方都市の旧家から東京の大学に通うために上京してきた大学生の若宮公子は、その奥手な性格ゆえに三年生になっても恋人もなく一人暮らしを続けているところに、男っぽい風貌をして才気走った同級生の五十川光子と知り合い魅了される。光子の駆る大型のオートバイの後ろに乗せられて富士山までドライブに赴いた公子は、光子の大胆な運転に悲鳴を上げつつエンジンの振動を処女の股間に感じて妖しい昂ぶりにとらわれていった。観光の帰り途に休憩と称してモーテルに連れ込まれた公子は、男を知らない体に光子の情熱的な愛撫を受けて初心な官能を崩されていく。光子にレズ愛を告白され、羞じらいながらも促されるまま裸になって光子と風呂をともにする公子は、女体ハントの使命を帯び邪悪な意図を隠して近づいてきた光子の掌中に、今や獲物として捕らわれたことを知らない。浴室のマットレスに全裸の公子を横たえた光子は、石けんを塗りたくった体を公子の処女の素肌と擦り合わせて絡み合いつつ、敏感な処女を性の昂ぶりに追い上げていく。甘い呻きとともに女の悦びをきわめて失神までした公子は、羞じらいの極限になすがままとなってベッドに連れ込まれる。隠し持っていたロープを持ち出した光子は、次々に開示されていく倒錯の性の世界に呆然となったままあらがいの意思を失っている公子を追いつめ脅しつけながら、怯える娘の湯上がりの裸体に後ろ手の緊縛をほどこしていく。乳ぶさを絞り上げられた捕らわれの肉体をベッドに仰向けに転がされた公子は、羞じらいに足掻きたてる足首に力ずくで縄を掛け回され、ダブルベッドの横幅を大きくまたいだあられもない開脚姿に拘束される。羞恥の極限に泣きじゃくりながら、乳首をひねり上げられるいたぶりに負けて、天井の鏡に映し出されるおのが裸形を見せつけられる女子大生。喘ぐ唇を吸い、無防備にさらけ出された乳首と肉芽を同時にいじりたてて公子を歔き悶えさせた光子は、愉悦の限界に耐えて痙攣する処女の体に逆しまに覆いかぶさって、淫靡に濡れ光る股間に舌をさしのべる。女の官能の中心を舌でなぶられて錯乱の悲鳴を噴きながら、激しい痙攣とともに絶頂を極めて失神した初心な女子大生の肉体は、それでもまだ、立て続けの快楽征服劇の始まりを迎えたに過ぎなかった。意識も朦朧となった公子の尻の穴に光子の指が突き立てられ、生まれて初めての異様な刺戟を知った娘をたちまち再度の絶頂に追い上げる。息も絶えだえの哀訴を噴きこぼして許しを乞いながら淫らに悶え狂う処女の直腸が、付け根まで埋められた光子の人差し指でなおも掻きまさぐられ責めたてられて、大股開きに自由を奪われた女子大生の白い肉体に三度目の、四度目の、そしてさらに数々の絶頂を演じさせ続ける。快楽を超える苦悶の果てに淫らな呻きを噴いて完全に失神した公子の放恣にも美しい裸体は、海外の富豪に売り渡されるべき若い日本女性の処女肉として、完全な合格品の域に達していた。その美しさと性感の豊かさゆえに酸鼻な運命を招き寄せることになったとも知らず、乳首をひねって目覚めさせられた公子は光子への服従を誓わされ、顔の上にまたがった光子の股間に舌で奉仕されられる。恥毛に顔を埋めたまま命じられた愛技にはげむ公子の屈服の姿を恍惚となって見降ろす光子の胸中には、厳しく躾られた慎み深い女子大生を思惑どおりまんまと籠絡して言いなりにさせたことへの満足感とともに、やがて売り渡されていく公子への哀れみと後悔の念が芽生え始めていた。
[ 1-3 ]
完全に言うなりにさせた公子への同情と愛着を日に日に深めていった光子は、何も知らない美しい娘を肉奴の運命から救い出したいと願い始める。公子の美貌を写真で知るボスからの焦れた催促をはぐらかしつつ時を稼いでいた光子は、公子が母の危篤の報を受けて帰省することになったのを好機として、使命に背いて公子を汚辱の運命から逃れさせようと試みた。奴隷の提出期日まであと十日も残っていないある早朝、始発の新幹線で故郷に帰ろうとする公子を車で駅まで送りながら、光子は滞在を長くするよう公子に促す。だが、公子の不在を口実にして致命的な期日をやり過ごそうとした光子の企みを見透かしたかのように、ボスが遣わした二人の男が駅で二人を取り囲む。当惑する公子の前で苦し紛れの言い訳とともに別の女を差し出すための猶予を乞い願う光子を、男たちは嘲笑って一蹴する。公子の美しさを見知ったおおもとの依頼人が、奴隷になる女を差し替えてでも公子を我がものとするために彼らを遣わせたのだった。公子と光子は黒塗りの車に押し込められ、暗黒の運命へと向かって、知るものもなく連れ去られる。
光子と二人暮らしの女子高生の妹・ひとみが、早朝に出かけた姉が戻らないのを不審に思いつつ登校前の朝食をとっているアパートの部屋に、動転しきった様子の男が訪ねてくる。その男の運転する車に光子が撥ねられて病院に運ばれたことを聞かされたひとみは、姉のもとへ向かうため学校を欠席して黒塗りの車に同乗した。後部座席に同乗していたもう一人の男が説明する事故の顛末にかすかな疑念を抱いたのも束の間、ひとみは冷酷さを剥き出しにした男に抱きすくめられる。恐怖と驚愕にすくみ上がった女子高生は、姉が関わっていた仕事と、その裏切りがもたらした結果についてわずかな真実を知らされたのを最後に、口元に押し当てられた薬で意識を失う。罪なき美少女が目覚めてすべての真実を知ることになる時はまた、五十川姉妹にとって終わりなき汚辱の人生が始まる時になるはずであった。五十川光子の裏切りが明らかとなった今、三人の奴隷の最後の一席を埋めるべき未成年の処女として、妹の五十川ひとみが選ばれたのだ。肩までの髪を散らしてぐったりとなった無垢の処女は、セーラー服の下の可憐な乳ぶさを揉みなぶられながら、すでに姉も囚われている闇の世界へと運び込まれていく。
[ 1-4 〜 2-1 ]
男たちの声を間近に聞きながら朦朧とした意識のなかをさまよっていたひとみは、不意に響き渡った姉の絶叫で眼を覚まし、自分がセーラー服姿のまま後ろ手に椅子に縛られスカートを腰までまくり上げられていることを知る。窓ひとつない殺風景なコンクリートの地下室で、怯えるひとみの眼前には、姉の光子が素っ裸にされた体を天井から鎖で両手吊りにされ、伸びきった肉体を床上十センチの空中で躍らせていた。胸にも下腹にも太腿にも刻みつけられた鞭痕に血をにじませ、あぶら汗にまみれた裸形を苦悶にのたうたせる姉の悲惨な裸形をひとみは無理やり正視させられる。ひとみを拉致した二人の男に加えてもう一人の、彼らのボスとおぼしき口ひげの男が、妹への宥恕を必死に哀訴する光子を嘲笑う。過酷な組織の裏切り者にはいかなる言い訳も許されず、生贄の女を逃がそうとした光子は自分の身のみならず無実の妹までをも汚辱の運命の巻き添えにしてしまったのだ。慟哭する光子の前でひとみはいましめを解かれ、セーラー服を脱いで裸になるよう命じられる。羞恥と嫌悪に激しくあらがう美少女を追いつめるように、宙吊りの光子の裸身に厳しい鞭がたたき込まれる。体力の限界に達した女体を宙に跳ね躍らせて苦悶する姉の凄惨な姿に、観念してセーラー服を脱いでいく姉思いの可憐な妹。男のひとり・佐々木がカメラを構えて写真を撮りまくるなか、下着姿になったひとみはみずからの手でブラジャーをはずして無垢の乳ぶさをさらけ出す。苦悶の果てに光子が気絶したのを機に、ひとみはパンティ一枚の裸身をもう一人の男・吉本によって後ろ手に縛り上げられ、乳ぶさを厳しく絞り出された体を椅子に掛けさせられる。光子は宙吊りから降ろされて催淫薬を飲まされ、妹の辱めを見せつけられるべく、再び開脚立ち縛りに吊り上げられる。羞恥にわななくひとみの半裸を抱きすくめてもてあそび唇を吸いたてたボスは、吉本に押さえつけさせたひとみの腰からパンティを剥き下ろし、初心な少女を全裸曝しの恥辱にのたうたせる。肘掛け椅子に掛けたボスの膝の上に前向きにまたがらされた少女は、大きく拡げた脚を肘掛けに乗せ上げられて固定され、羞恥の極みに放心する。意識を取り戻した光子は、今まで多くの女を責め落とすのに使ってきた激烈な淫薬の効果を我が身に感じながら、泣きむせぶ妹の裸形を陶然と見つめる。大きく開いた股間を吉本に覗き込まれて処女であることを確かめられた女子高生は、唇に乳首に内股に這い回るボスの本格的な愛撫に官能を崩され、肉芽を擦りたてられて痙攣する秘肉から透明な愛液をしたたらせながら、淫らなすすり歔きに総身を顫わせてのたうつ。その眼の前では淫薬の刺戟に灼かれて苦悶する光子が、後輩だった佐々木の手で巨大な淫具を焦らすように体じゅうに這わされ、汗にまみれた開脚立ちをゆさぶりたてて快楽の解放を乞い求める。肉の愉悦に支配され理性を崩壊させられた姉は、生まれて初めての性の悦楽を覚えさせられている妹に得意のレズ責めをほどこすよう命じられる。ボスに対する激しい憎しみも激烈な薬の効果に敗れて、光子は錯乱しながら命令を受け入れる。吊りから降ろされ後ろ手に縛られてさらに股間に淫薬を塗りたくられた光子は、狂った雌のけだもののように眼を血走らせよだれを垂らしながら、妹のわななく秘肉に舌をさしのべていく。凄艶な悲鳴を噴き上げて腰を振りたて、姉の鍛え抜かれた技巧で絶頂へと追い上げられていく妹。二つの女の全裸が演じる淫靡な絡み合いは、五十川姉妹にとって、それぞれの凄惨な運命へと堕ちゆく前の最後の肉親のふれ合いでもあった。
[ 2-2 〜 2-3 ]
同じ日の朝、光子と引き離されて商事会社の幹部・木戸の手に渡された公子の身にもまた、羞恥と被虐に塗りつぶされたおぞましい汚辱の運命が降りかかろうとしていた。写真で知った公子の美しさに心動かされた木戸は公子をおのが情婦とする代わりに、不貞をはたらいた現在の情婦に処女膜再生手術をほどこして奴隷のひとりに仕立て上げようとしたのだ。木戸の会社の入社試験に落ちて以来その情婦となってマンションをあてがわれていた谷口伸子は、半年も経たぬうちに若い愛人をつくり、その愛人・道下明を呼び込んで愛戯にふけっていた。素っ裸で抱き合っていた若い男女はその朝、木戸の手下の者たちに取り押さえられ、関西出張と偽って情婦を見張っていた木戸のもとへと拉致される。薬による眠りから腰を蹴られて目覚めたとき、伸子は丸裸を後ろ手に縛られて木戸と男たちの環視のなかに転がされていた。裸で柱に立ち縛りにされた明の眼の前で、伸子は縄尻を曳かれて引きずり起こされ、裸を後ろ手にくくられたもう一人の若く美しい女を抱いてソファに掛けている木戸の足下に引き据えられる。木戸はその若宮公子の羞恥にわななく体をもてあそびながら、うなだれて惨めに許しを請う伸子を打擲して冷酷に断罪し、他の男に売りとばされる過酷な罰を宣告する。外国のハーレム送りを宣告され、それを免れるただひとつの途として愛人の性器を口で勃起させたうえ噛み切ることを命じられた伸子は、極限の恐怖に取り憑かれて明の下腹ににじり寄る。だが、恐怖にすくみ上がる明の怒張は伸子の必死の口淫にも反応せず、十分後、若い女の凄惨な運命を確定させた。慟哭する伸子の裸身は絨氈の上に転がされ、環視のなかで木戸の手下の二人の男に輪姦されていく。裂かれた下肢を一人の男に貫かれつつもう一人の男に口を吸われ、揉みくちゃにされてゆさぶられながら玩弄にのたうつ伸子の悲惨な女体を、公子は慄えながら見せつけられる。凄まじい凌辱のさなかにも女の官能を突き崩され、総身を痙攣させ腰を突き上げて絶頂を極める伸子。木戸の憎悪と侮蔑の言葉を浴びながら、なおも抜かずに犯され続け、頬を左右に打たれつつ幾度も昇りつめて泣きわめく伸子の姿に、明は怒張をそそり立たせ、呆然となった公子はなぶられる内股を昂ぶりに濡らし始める。伸びきった伸子は俯伏せに転がされて尻を立てさせられ、捻じった頬で上体を支えた浅ましい恰好の女体を二人目の男に後ろから犯される。尻をしばかれ突きまくられながら、絨氈によだれを垂らして息も絶えだえに呻きのたうつ伸子の凄惨な痴態を、おのが将来の姿として予告された公子は絶望に放心して声もなかった。
[ 2-4 ]
伸子と明が連れ去られた後、木戸と二人きりになった公子は緊縛の裸体を木戸の足元の絨氈の上に跪かせられる。ほんらい奴隷として外国送りになるはずだった自分の身代わりに伸子がたてられたことを知らされ、組織の男たちの凄まじい凌辱を目の当たりにさせられたばかりの公子は、着衣剥奪の羞恥や緊縛の屈辱にもはるかにまさる木戸への恐怖に打ちひしがれて、すすり泣きながら服従の態度を示す。鞭で脅されながら木戸の破廉恥な質問に答えてオナニーの経験と光子とのレズプレイを告白させられた女子大生は、木戸の眼前で性器を開いて見せるよう命じられて羞恥に燃えあがる。ためらう太腿に鞭を入れられて憤辱に慄えながら、仰向けに上体を倒し股を開いて屈従の言葉を口にさせられる二十一歳の乙女。腰をもたげて肉芽と繊毛をなぶるにまかせた公子は、次いで俯伏せになって尻を立てさせられ、敏感なアヌスをなぶられて妖しい戦慄に身悶え泣きじゃくる。おぞましさに抵抗の意志を喪失しきった公子は木戸の股間に引き据えられ、支配者の怒張に口づけを捧げて服従を誓わされる。屈辱と羞恥に萎えきった裸身を鞭でベッドに追い上げられた公子は、仰向けになって股を拡げるよう命じられ、嫌悪にのたうつ裸体を鞭でぶちのめされ惨めに痙攣させながら、やがて苦痛に負けてダブルベッドをまたぐほどの大股開きに脚を拡げていく。天井の鏡で自分の浅ましい全裸開脚の姿を見せられ、無意識に閉じようとする内股を鞭でしばかれて屈服させられた公子は、すべてをあからさまに曝した自分の若く美しい緊縛の女体をうつろな瞳で見上げてぐったりとなった。愛する男性と結ばれることを夢見ていた乙女の捕らわれの裸体に木戸がのしかかり、無垢な魂を絶望に塗り込めながら、女の成熟を迎えた若い肉体を残酷に犯していく。もう二度と会うことの出来ない危篤の母を想いながら、処女の肉を引き裂かれて苦悶の呻きを噴き上げていく若宮公子にとって、それはこれから始まる長い呵責のほんの始まりにすぎないのだった。
[ 2-5 ]
肉奴の生を歩み始める女たちの痕跡を日本社会から抹消する手筈が男たちの手で着々と進む。乙崎衣絵は情人と駆け落ちして失踪する夫宛の手紙を書かされ、五十川姉妹のアパートも引き払われた。まみえることもなく母を失った若宮公子には、もはや行方を捜し求める者たちの捜索も届かず、木戸の情婦として飼われる運命が待つ。この先少なくとも数年は続く凄惨な呵責が、つい先日まで処女だった美しい娘の若い肉体を、別の女へと生まれ変わらせていくのだ。
異国に売り飛ばされる肉の商品となった三人の女は、厳しい調教に磨き上げられた裸身を柱に立ち縛りにされて、荷造りと搬送を直前にした最後の検分を男たちによって受ける。この一週間の厳しい調教によっていや増した女体の魅力とは対照的に、どの女も絶望のあまり魂までうつろになった瞳を宙に投げて放心しきっていた。死んだように無反応な衣絵、処女膜を再生された身を嘲弄されながら激情にわめく伸子、奴隷に売られる処女の身をガックリとうなだれさせて観念しきったひとみ。この期に及んでも姉の身の上を気づかうひとみは、おのが犠牲の代償として光子の罪が許されたと聞かされて可憐にも安堵の涙をこぼす。光子が若い衆の溜まりに投げ込まれ今もなお輪姦の限りを尽くされているとは、さすがの男たちも口にするのをはばかったのだ。首筋に注射を打たれて意識を失った女たちの裸身が寝袋に押し込まれ、コンテナに横たえられて厳重に施錠されると、日本の女の肉体美の粋を極めて造り上げられた高価きわまる輸出用貨物が完成する。埠頭の倉庫から飛び立ったヘリコプターが海上にある大型貨物船まで運んでゆく三つのコンテナには一つの木箱が添えられて、女たちのアルバムから集められた幼い頃からの日常生活の写真が収められていた。将来の運命も知らずに健やかに成長し、青春を謳歌してきた女たちの幸福な記録は、いまや全裸でハーレムに繋がれる奴隷の境遇へと堕ちた生身の美肉との陰惨な対照をなして、淫虐な権力者たちを楽しませることになるのだ。日本の繁栄と貿易商社の利益とを担った美しい肉の貨物を、異国へ向けて輸送していくヘリコプターの窓からは、まだ暗い明けそめた空を背景に、美しい富士山の姿が浮かび上がっていた。
[ 2-6 ]