【11月1日】万聖節の日となる翌朝、滞在中のデスノスの町から近くの森に薬草を探しに出かけた医師ピカールは、狼に襲われて深手を負ったまま草むらに倒れている若い騎士を見つけて介抱する。朦朧とした意識の中で姫を気づかうその騎士こそは、昨夜、護衛していたブランシュ姫とはぐれ、森の中で狼を撃退して力尽きた騎士ファビオ・デル・ドンゴであった。ピカールが滞在するデスノスの宿屋「赤猫亭」に運び込まれて手厚い処置を受けたファビオは昼近くになって目覚め、医師の娘ラミアから事のいきさつを聞かされる。目指す人物を探し当てたことに安堵しつつも、姫の安否を気づかって手傷も顧みずに起き上がろうとはやりたつファビオ。病人を見舞いに出た父の留守を預かっているラミアは、騎士のひたむきさに娘らしい好意をつのらせながら懸命に引き止めようとする。