赤猫亭に集まったジャンやピコらの一味はマルグリットからの連絡がないことに不安を募らせながら、更けていく夜の中で決起を目前に控えた重苦しい沈黙におちいっていた。城の動きを気にかけるジャンのもとに、黒魔術の塔から煙りが上がっていることが見張りの者から知らされる。かねてピカールと示し合わせていた秘密の連絡手段であったその煙は、計画の露見と危急とを告げるとともに、ジャンたちには解読不能な紫色の煙をも伴っていた。マルグリットの捕縛を確信したジャンはただちに決断を下し、シャラン襲撃の兵を遣わす。デスノス城から闇夜にまぎれて発したシャラン領主と思しき一行の姿を察知した一揆軍は、シャラン街道をひた走る一隊が森を抜けたところで襲いかかり、急襲に動転する兵士たちを包囲し壊滅させる。シャラン襲撃成功の報を受けて緒戦の勝利に満足するジャンのもとに、町はずれの洞窟に棲む病者たちが現れ、意外にもピカールからの伝言をもたらした。城から立ち昇る紫色の煙はピカールから病者たちへの連絡手段だったのだ。一揆の計画を知って急ぎ領地へと戻っていく領主たちがデスノス城に置き去りにしていった女たちを下げ渡すため、病者の一団が城内に呼び込まれようとしていた。ピカールの真意を悟ったジャンは部下たちとともに病者に変装し、城に入り込む千載一遇の機会を抜け目なく利用する。伝染病者の一行をおそるおそる裏門から招き入れたデスノス城の番兵たちはたちまち倒され、一揆軍はジャンの手引きで次々と城内に侵入していった。牢番たちが捕らわれの女たちを好きずきに辱めている地下牢に乗り込んだジャンは、油断しきっていた牢番たちを切り捨て、囚われていたファビオを救い出す。ジャンとファビオがブロン侯爵への報復を競い合いつつ、ピカールとラミアの姿を探しに向かおうとしたとき、城の厩からは火の手があがっていた。