建男の死を警察から知らされて慌てふためく京堂家では、時を同じくして妻の雪乃の失踪が発覚して大変な騒ぎになっていた。五郎の関与を疑った伸介が意を決してこれまでのいきさつを警察に語ったことから、五郎はあっけなく居場所を突き止められ殺人と監禁の容疑で逮捕される。
救い出されたのも束の間に、雪乃は周囲やマスコミの好奇の眼に耐えながら喪主として建男の葬儀を済ませる。秋が深まるなか、憂いを沈ませた雪乃は再び伸介と疎遠な距離を保つようになっていた。ある夜、しばらく逢い引きもしていなかった久がアトリエを訪れて伸介を久兵衛の座敷へと連れ出し、その道すがら雪乃の将来について思わせぶりな言葉を口にする。久兵衛のもとには雪乃が訪れて、京堂家の名誉を汚した報いとして家を出されることを願い出ていた。一同が口々に雪乃を引き止めようとするなか、久兵衛は伸介に対して雪乃との結婚を打診する。伸介の口から久兵衛の意思を伝え聞いた雪乃は激しく狼狽して、熱心に口説きにかかる伸介たちを残してその場を辞した。