【九月】情欲の遊戯に明け暮れた夏休みが明け、新学期を迎えた圭吾は学校で教師として女生徒たちと再会する。剃られた頭を鬘で隠しているしのぶは見違えたようにおとなしくなり、典子は期待に満ちた眼を圭吾に向けて挑発する。休み中に大野木家を訪れて和美を紹介された典子は、圭吾と和美の関係を敏感に察して、上品ぶった進学校の美少女への敵愾心を燃やしていた。いっぽう、休み中に行われた秋吉真喜子の盛大な結婚式の様子が、同僚教師の羨望を集めていた。
義母と息子と娘が相姦の汚辱を味わわされた夜以来、林家では、何も知らぬ達明を除いた三人の間に、気まずく張りつめた日々が続いていた。達也がしのぶの部屋に押し掛けては禁断の情交にふけっているのを見咎めてたしなめた静子は、妹との近親相姦が、義母の自分に向けた達也の欲望の捌け口だと告げられて黙認するしかない。息子と娘の喘ぎ声とベッドのきしみを階上に聞きながら、静子夫人はひたすわ惑乱し、憔悴を深めていく。