長い冬を越えて春を待ちわびる北国の地方都市で、張り巡らされてきた数多の陰謀が決算のときを迎えようとしていた。卒業する生徒たちを送り出して一年の総決算を迎える学校に今年限りで退職願を提出した圭吾は、女子高生たちとの接点を失うことにわずかな未練を覚えながらも、三月の知事選挙をもって完成する復讐劇の総仕上げに思いをめぐらす。保守党の知事候補として対立候補と激しい選挙戦を繰りひろげる林達明と、その傍らで夫を支える静子夫人の健気な姿とを選挙カーの上に仰ぎ見ながら、圭吾は美しい知事候補夫人が全裸を縛められて肉欲に乱れる姿を思い合わせる。県政界と教育界を蝕む不正が但馬老人の策により暴かれ、林一派の凋落とともに美しい静子夫人もまた没落していく破滅のときが、いまや目前に迫っているのだった。