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好色の罠

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 その夜、ブランシュは自室に特別にしつらえられた豪華な浴槽の中で湯のぬくもりにひたりながら、形のない不安にさいなまれていた。イタリア出身と知れた姫のためにわざわざ浴槽を運び込んでくれた城主の歓待ぶりに緊張をほどかれながらも、その日一日に城内で眼にした光景の数々に、処女の感受性はただならぬ異様さを感じ取っていたのだ。女中の類がほとんどいない城中でわずかに眼にした女といえば晩餐の席で家臣たちにはべっていた気品ある美女たちだけで、ブランシュが紹介された時のその憐憫と同情の入り混じった表情が奇妙な印象を残していた。そして侯爵に城内を案内されていた昼間に一室で行き会ったのは、若く美しい全裸の女を四つん這いにさせ首に巻きつけた鎖を引いて床の上を追い立てている小人フォラスの姿であった。背中に鞭痕を刻まれ乳ぶさを揺らして這いずりまわる女の腰には、処女の姫には眼にするのもおぞましい黒い鉄の貞操帯が嵌められていた。羞恥と嫌悪に身震いして眼を伏せ、小人のいやらしい視線で下からすくいあげるようにのぞき込まれて戦慄したブランシュは、やがて自身をも同じ境遇に落とそうともくろんでいる侯爵が、羞じらう乙女の姿に背後から好色な視線を浴びせていることを知るよしもなかった。
 無垢の身を抱き締めるようにしておぞましい回想を振り払ったブランシュの思いは、いまだ行方の知れないという恋人ファビオの境遇へと移る。かつて一度だけ口づけを交わした身分違いの凛々しい若者の面影を追い、甘美な陶酔にふくらむ乳ぶさを抱いてひとり頬を染めていたブランシュの夢想は、しかし、クレリヤが控えているはずの衝立の陰で起こったただならぬ物音に破られる。再び不安に駆られて侍女の名を呼ぶブランシュの前に、衝立の陰から顔をのぞかせたのは、忍び笑いを浮かべた小人フォラスであった。驚愕し、タオルで胸を覆って浴槽にしゃがみ込んだブランシュの傍に歩み寄ったフォラスは、高貴の姫の甲高い叱声をものともせず、白い裸身を湯の中に縮めている姫の周囲を回って卑猥なからかいを浴びせかける。あまりの侮辱に声を失って慄えるブランシュの前で衝立が押しのけられると、姿の消えたクレリヤの代わりに、腰布だけをまとった四人の巨人の黒人奴隷が歩み出る。フォラスの命令で浴槽を肩に担ぎ上げた奴隷たちは、湯を張ったままで一つの輿と化した浴槽を、その中で悲鳴をあげる全裸の姫もろとも運び出していく。
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シチュエーション
(なし)

登場人物

剥衣 環視 撮影 剃毛 排泄 近親 愛撫 絶頂 張形 座位 後背 荒淫 菊門 緊縛 吊刑 磔刑 口淫 強姦 輪姦 監禁 服従 鞭打 破瓜 拷問 刻印
思いがファビオのことに触れると、自然に乳房がふくらんでくるのをどうしようもなく、ブランシュはひとりで頬を赤くした。
剥衣 環視 撮影 剃毛 排泄 近親 愛撫 絶頂 張形 座位 後背 荒淫 菊門 緊縛 吊刑 磔刑 口淫 強姦 輪姦 監禁 服従 鞭打 破瓜 拷問 刻印
黒光りする鉄の固い帯がガッシリ食い込んでいるさまは、汚れを知らぬ姫を、羞恥と屈辱に身ぶるいさせるのに十分だった。

挿画ギャラリー

姫が城主に対して抱いた不安は的中した。入浴中に不埒な男たちに踏み込まれた姫は、裸体を浴槽もろとも運び出される。

挿画83ページ 挿画83ページ(中川彩子)

入浴中にフォラス踏み込まれるブランシュ。

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