衝撃と恐怖のあまり茫然となってあらがう気力もないブランシュの裸体を乗せたまま、黒人奴隷たちの担ぐ浴槽は黒魔術の塔の最上階の部屋へと運び上げられた。黒衣をまとったプレラチに迎えられ、恐ろしい儀式の道具に取り囲まれた暗い部屋の中央に浴槽を降ろされたブランシュは、タオルでわずかに隠れた裸に鳥肌を立ててわななきながら無言の僧を問い詰めののしる。暗がりから姿を現した侯爵を眼にして憤りを噴出させたブランシュだが、激しい非難と抗議を不遜な冷笑であしらわれ男たちの冷酷な視線に射すくめられて、貴族の娘の誇りをくじかれていく。けがらわしい黒ミサの生贄にされると知って慄えるブランシュの傍には猿轡をされた侍女のクレリヤが椅子に縛られて据えられ、あるじの姫が純潔を穢されるのを見せつけるよう仕立てられていた。幾重もの辱めを前にして絶望にすすり泣くブランシュは、侯爵の命令を受けた四人の黒人奴隷にタオルをむしり取られ、浴槽から担ぎ上げられた裸体を祭壇の生贄台に仰向けに転がされ縛りつけられていく。泣き叫んで抵抗する処女のか弱い両手と両足が容赦なく引き伸ばされ拡げられ、いましめの縄を食い込まされて、ほのめく灯火の中に白く美しい生贄の裸体をさらけ出した。黒人奴隷を下がらせた後でプレラチは儀式の準備にかかり、黒い死蝋の蝋燭を燭台代わりに生贄の肌の上に立てていく。慄える双の乳首、くぼんだ腹、わななく両脚に蝋燭を立てられて肉の燭台と化した姫は、苦悶の身悶えにつれて滴る熱蝋に肌を灼かれて悲鳴を噴きこぼす。だが、明かりを消された室内に妖しく浮かび上がるブランシュの裸体を囲んでまさに黒ミサが始まろうとした時、思いもかけぬ発見を告げるために駆け込んできたフォラスが儀式を中断する。ブランシュを連れ去らせたあと姫が脱ぎ残した下着の間をまさぐっていたフォラスは、アヴィニョンの修道僧から名医ピカールに宛てて姫に託された極秘の手紙を、姫の守り袋の中から見出したのであった。マチュラン・ピカールが変名だと露見しつつあることに注意を促すその手紙は、ピカールの正体が、「賢者の石」の秘密をただ一人解き明かしたと噂され、今は身を隠して慈善のために全国を遍歴している高名な錬金術師ニコラ・フラメルであることを告げていた。思いがけぬ巡り合わせに狂喜した侯爵は、失神寸前のブランシュの頬を張り飛ばして手紙を預かったいきさつを聞き出し、翌日にもピカールを城に召し出すための策をプレラチとともに練る。もはや黒ミサの必要がなくなったいま、大の字の裸体をさらけ出している美しい姫の立場は、サタンへの生贄から淫虐な侯爵の花嫁へと変わった。いましめを解かれて再び後ろ手に縛られていくブランシュは悲痛に哀願しながら、花嫁として素っ裸を家臣たちの曝しものにされたあと一晩中侯爵のなぶりものにされることを告げられ、身を揉んで泣きじゃくる体を引きたてられていく。椅子に縛られたまま部屋に残されたクレリヤにはプレラチが歩み寄り、無念に忍び泣く侍女の美貌を覗き込む。荒々しく胸元を引き裂かれ、縄目の間に剥き出しにされた乳ぶさにおぞましい愛撫を這わされていきながら、可憐な侍女もまた汚辱の夜を迎えようとしていた。