傷の手当てをして朝食を済ませた侯爵は、前夜の晩餐に同席した七人の女奴隷を伴って城の地下にある拷問室に降りる。かつては侯爵に攻め滅ぼされた敵国の姫だった女奴隷たちは、それぞれ最初にそこに連れ込まれて責められ、侯爵の膝下に這いつくばって屈服したいまわしい屈辱の記憶を呼び覚まされておののく。地下牢に接する広い地下拷問室は、侯爵の嗜好にかなうべく、拷問台・車輪・X字架・木馬・枷・鎖にはじまるありとあらゆる責め具を備えられていた。一メートル四方に満たない小さな鉄の箱が女たちの前で開けられると、黒い革紐で窮屈な後ろ手あぐら縛りにされ、白い裸体を縦横に締め上げられて一個の肉塊と化したブランシュ姫が転がり出てくる。窮屈な箱詰めにされたまま処罰の時を待たされていたブランシュは、侯爵に足蹴にされ、全身から苦悶のあぶら汗を絞り出しつつ革紐をきしませて呻き喘ぐ。新入りの女の無惨な姿の周囲に呼び寄せられておそろしげに見降ろす七人の女奴隷は、一人ずつ名指しされて、自分が受けた責め苦のなかで最もつらい責めを問いただされる。女たちはかつて皆、戦勝に酔う兵士たちの間を全裸で引き回され、木馬に乗せられ、吊られ、くすぐられ、女の羞恥と誇りを無惨に引き裂かれて侯爵に屈服した者たちばかりなのだ。侯爵の命令でいましめを解かれたブランシュは、一メートルほどの鉄棒の両端に手首を結びつけられ、天井から垂れる鉤で吊り上げられていく。あらがう気力もなく観念の眼を閉じたブランシュの華奢な体が宙吊りに引き伸ばされ、両手に全体重をかけつつ床を離れてぶら下がる。頭をのけぞらせ爪先を痙攣させて苦悶するブランシュは、はかない悲鳴と抵抗を無視して宙に浮いた両足首をも鉄棒の両端にくくりつけられ、あさましいX字の吊り姿を一同の前にさらけ出して、すすり泣きながら美しい裸体を宙に伸びきらせる。自分を傷つけた憎い女の無惨な全裸宙吊りを臨んで腰を降ろした侯爵は、女奴隷たちに羽根や刷毛を受け取らせ、目の高さに白い腹をさらけ出している生贄の肉を一斉にくすぐらせる。女の体の急所を知り尽くした狡猾ないたぶりを、脇腹に、臍に、腰に、足の裏に、寄ってたかって這わされて、泣き笑いに似た絶叫を迸らせながら総身を痙攣させて宙に跳ねまわるブランシュの裸体。取り囲む女たちの頭上で身悶えるブランシュの上半身は、乱れ髪を振りたて、あぶら汗を噴き、尖った乳首を慄わせつつ、悲鳴を絶息するような喘ぎに変えていく。光を失ってとめどなく哀願の涙を流すブランシュの弱りぶりに屈服を認め、侯爵が姫の体を吊りから降ろさせようとするのを、駆け込んできたフォラスが未練がましく引き止め、さらにフォラスに呼びにやらせていたプレラチが、全裸を後ろ手に縛られ腰に貞操帯を嵌められたクレリヤの縄尻を引いて現れる。屈辱の運命もあらわな互いの裸身を目の当たりにし、残酷な主従再会に激しく泣き交わす姫と侍女。だが、フォラスは慟哭する主従の悲嘆のさまを嘲笑うようにブランシュの足首に張り渡された鉄棒に腰を掛け、姫の号泣を、手首に食い込むすさまじい重さに耐えかねての絶叫へと変える。縄の食い込んだ手首から血を流しあぶら汗を噴いた全身を痙攣させて許しを乞う姫の苦しみを意にも介さず、鉄棒に腰掛けた小人は頭上をまたぐように拡げられた女の脚につかまって、白い肉をブランコのように乗りこなす。嘲るようなフォラスの小唄に、ブランシュの悲痛な呻きと鎖のきしみが交錯する凄惨な拷問図絵。あまりの酷さに飛び出そうとしたクレリヤはプレラチに縄尻を引かれて転がされ、乳ぶさに鞭を振り下ろされる。失神寸前の苦痛に弱々しく喘ぐばかりとなった姫の体が侯爵の命令でようやく降ろされ、床に伸びきった体が仰向けに転がされる。侯爵の足に服従の口づけを命じられたブランシュはボロボロの体を起こして侯爵の足元に跪き、ひそやかな嗚咽を洩らしつつ、侯爵の革長靴を抱き締めて唇を押しつける。ピエモンテ領主ド・モンフェラ公の娘、気丈で美しかった十八歳のブランシュ姫は、いま拷問室の床に全裸を這いつくばらせ、侍女や下劣な男たちが見守るなか、自分の処女を奪った、殺そうとまで憎んだ男に服従を誓わされたのだ。完全に屈服を遂げた女をさらに辱めようとする侯爵によって貞操帯の装着が命じられると、黒人奴隷に引きずり起こされた姫は泣き叫び哀願しながら、つい昨日は処女の嫌悪をもって顔をそむけたあさましい鉄の装具を、剥き出しの我が身に装着されていく。後ろ手の手枷、鎖で短く繋がれた足枷、首輪までもつけられ、首輪から伸びる鎖の端を黒人の手に握られて立たされたブランシュの姿は、すでに気位の高い貴族の娘ではなく、白い肉の奴隷へと変わり果てていた。奴隷の調教のためブランシュとクレリヤの身がフォラスの手に預けられた時、折しも遣わされていた使者が戻り、医師ピカールを同行したことを告げる。遠国まではるばる訪ねてきた目当ての人物の名をここで聞いても、もはやブランシュには為すすべもなく、足鎖を引きずりながら、クレリヤとともに裸身を引き立てられていくことしかできないのだった。