着ている振り袖のあでやかさと劣らぬあでやかな顔立ちの女だった。
異界人の居留地で繰り拡げられている地獄のような女体蹂躙のさまを知り、同じ運命をたどらされているであろう薫子の境遇を思って良心の呵責に苛まれながら日々を送っていた淳のもとに、一週間後、Aとのみ署名した郵便が届く。まぎれもなくアシルからの指令であるその手紙には、人気の男性演歌歌手・美都城きよしの歌謡ショーのチケットが入っていた。新たな犠牲者を生むことを怖れて指令の無視を決め込んだ淳と佐々木は、しかし、ショーの当日になるとあらがい得ない力に促されるかのように正装して、それぞれ劇場へと赴いていた。観念しきった二人は美都城きよしファンの中年女性たちにまぎれて席につき、喧噪を極める歌謡ショーを憮然と眺める。いつしかうたた寝に落ちた淳がふいに脳への衝撃で目覚めると、舞台の上では、美都城きよしのフィアンセとして紹介された振り袖姿の美女が、ライトに照らされて喝采を浴びていた。「着物の女王」に選ばれたことから和装モデルとして活躍していた袖香織が、異界人の新たな生贄に選ばれたのである。幕間に場外へ出た淳と佐々木は楽屋への通路に踏み込み、とがめ立てする者たちを異界の能力で打ち倒しながら、美都城きよしの控え室へと向かう。なすすべもなく念力に操られた香織が淳と佐々木に挟まれるようにして劇場の外へ連れ出されると、そこにはアシルの運転する車が待っていた。
こんなやりとりの間、袖香織はうつろな瞳を空に放ったまま、等身大の人形のように、傍に立っていた。
金縛りにされた袖香織を乗せたアシルの車は、佐々木の勧めるSMホテル「ギャグ(口枷)」へ向かい、地下の駐車場に停まる。淳と佐々木の叛心を見越したアシルは香織に対する責めへの同席を求め、二人とともに地下三階のプレイルームへと降りる。暗い色調で統一され深紅のカーテンと絨毯で妖艶に引き立てられたその部屋には、枷付きのスタンドや磔柱、女体解剖椅子をはじめとして、女体を苛むおどろおどろしい責め具の数々が立ち並んでいた。ビデオで見た異界人の非情な地下牢を思い出した淳の何気ない質問に対して、アシルは自分たちの元の世界にはこのような責め具が存在しないことを迂闊にも明かして激しく狼狽する。なおも問いかけようとする淳たちを厳しく拒んで、アシルは強力な念力で縛りつけていた香織への凌辱を二人に促す。金縛りを解かれ、悲鳴をほとばしらせつつあらがう和装の美女を力ずくで組み伏せてアシルの前に突き出す淳と佐々木。だが、アシルは自由の身でもがきまわり叫びたてる女の姿に、奇妙にも激しい恐怖を示してたじろぐのであった。
縛り合わせた手首を背中に高々と吊り上げたロープを前にまわして乳房を上下から締め上げ、さらに首縄を前に下ろして胸縄を縦に絞り上げる。
女を激しく恐怖するがゆえに、強力な念力を用い残酷な責めを繰り出す異界人の歪んだ性癖を垣間見た淳は、香織を丸木柱に両手吊りにして革枷でつなぎ止め、アシルをなだめて落ち着きを取りもどさせる。自分たちの世界では見ることのない艶やかな和装の美女に残忍な眼差しを向けるアシルに頼まれるまま、佐々木はおびえにすくみ上がる香織の帯をゆるめて振り袖をほどいてゆく。香織が長襦袢姿にされてもまだ恐怖を隠せないアシルの前で、佐々木は柱から解いた香織の体から肌襦袢を剥ぎ取り、白く柔らかい美女の肉体を朱縄で厳しく縛めていく。後ろ手にされて乳ぶさを絞りあげられ首縄と腰縄まで打たれた香織は、幸福の絶頂から一転して堕とされた汚辱の極みに弱々しく嗚咽してうなだれる。朱縄に引き立てられた女体の美を眼の当たりにしたアシルは、女を憎悪し破壊するのではなくその美を引き立てようとするこの世界のサジズム観に讃嘆の吐声を放つ。淳と佐々木は自分たちのサジズムを顕示すべく、湯文字と白足袋だけの香織をふたたび丸木柱に立ち縛りにする。淳と佐々木に促されたアシルは、金切り声をあげてわめきたてる香織の湯文字の紐を手ずからほどいて、極限の羞恥によじりたてられる美女の腰からピンクの湯文字をズリ降ろしていく。泣き叫ぶ香織の腰から湯文字が滑り落ち、繊毛をたたえた白い下腹を剥き出しにされた美しい和装モデルは三人の男の情欲の眼差しに曝されながら、女性器剥き出しの裸体を写真に撮りまくられて絶望の慟哭を噴き上げる。
美女の朱縄にくびられた真っ白な裸身は、噴き出すあぶら汗になめらかな光に包まれると同時に昂りにほんのり上気して、えもいえぬ美しさに耀き始めている。
淳は羞じらいに悶える香織の股間に朱縄をまわし、股縄をきつく締め上げて繋ぎとめる。白く柔らかな女体を朱の縄化粧に彩られた香織は、秘肉を擦りたてる淫靡な縄の刺戟に責められて腰をよじりながら、ひとりでに昂ぶりをつのらせていく哀れな裸形を男たちの見世物にされる。快楽と羞恥で女を焼き尽くす淳たちの責めを、感心しながら見守るアシル。淳と佐々木は香織の乳ぶさと下腹に取りついて、二人がかりの指と舌で女体の弱点を淫らになぶりあげる。愛する男に捧げた体を官能に炙られてすすり泣きながら屈服していく香織を、現代流の辱めで徹底的におとしめて見せるために、佐々木はバイブレーターを持ち出す。柱から解かれた香織は泣きわめいてあらがいながら開脚椅子に引きずり上げられ、下肢を拘束されたアームを大股開きまで開かせられる。淫液に濡れ光らせた朱縄を股間に食い込ませ、女の最奥の羞恥を曝してむせび泣く香織は、はずされた股縄の下で淫らな刺戟に爛れきった秘肉を暴き出されて汚辱の号泣を噴き上げる。バイブの振動を秘裂に這わされて息も絶えだえに錯乱し哀訴する香織は、身悶えに弾む乳ぶさを淳に揉みたてられながら、クリトリスをくすぐられて淫液を垂れ流す。焦らしたてる肉の刺戟に腰を振ってのたうついっぽう、嫌悪の悲鳴とともに屈服を拒み続ける香織。艶やかな装飾を残らず奪われ、朱縄をまとった肉の人形へと堕ちた和装の美女の濡れそぼつ肉口に、佐々木は振動を止めた淫具を無理やり押しこんでいく。腹を波打たせて汚辱にむせび泣く美女は、なかばまで埋められてから首振りを始めた淫具を中途半端に出し入れされて錯乱のおめきとともにのたうちまわる。女を快楽に泣きわめかせる佐々木の責めの実験台にされて開脚椅子の上で淫らに跳ね躍る香織を、アシルは昂奮に極まりつつ見つめる。奥まで押し込まれた淫具を抽送されながら肉芽をいびりたてられた美貌の和装モデルは、愛しいフィアンセに許しを乞う絶望のおめきを噴き上げつつ腰を振りたて、汗まみれの女体を痙攣させて激しく絶頂を極める。
串刺しにされた肉柱の先端で子宮を突き上げられた香織は総身を顫わせてのけぞった。
汚辱にむせび泣く香織の惨めな姿にアシルは激しく昂ぶって、快楽によって女を辱める淳と佐々木のサジズムを承認する。だがその胸中には、現代とはまるで異なる自分の同時代の女たちによって引き起こされた、根深い女性恐怖がなおも巣くっていた。アシルに先を譲られた淳は開脚椅子から解いた香織をベッドに転がして抱きすくめる。朱縄で締め上げられた上体をのたうたせながらあらがう下肢を割り裂かれ、淳の怒張で秘裂を擦り上げられた香織は、貞操を穢される絶望に悲痛な絶叫を噴き上げながら、淳の巨大な怒張を女体の奥深くまで埋め尽くされていく。淳は残酷な凌辱に泣きわめく美女を子宮まで突き上げ、汗を噴いてのけぞる白い肉を荒々しく揉みなぶりながら唇を奪い美肉を貪る。しかし女を力で押し伏せて屈服させる淳のやり方は、アシルの恐怖心をいっそう煽りたてるだけであった。上体を起こされて淳の腰にまたがらされ、子宮まで垂直に突き上げられた香織は、なぶるような淳のゆさぶりに弱々しい悲鳴を噴きこぼしながら、惨めな喘ぎをよがり歔きへと変えていく。上気しきった美貌から透きとおった歔き声を噴いてのたうった香織は、やがて逆らえぬ快楽に灼かれてみずから腰を振りたて、汗みずくの裸体を痙攣させて激しく昇りつめる。
続けざまに犯される香織の秘肉は、孕んだ熱気が冷えるいとまもなく激しい刺激に曝されて、たちまち七合目八合目と愉悦の階段を登らされていくのに違いない。
淳の膝の上で貫かれたままの香織の細い裸体に現代の女の美を認めつつ、アシルは未来世界の女たちが男と対等なまでに長身であることを明かす。社会的にも身体的にも男女の対等が実現した未来社会で、女へのサジスチックな欲望を抑圧されて煩悶する男たちの実相を悟って、淳は慄然としつつアシルに同情する。なおも女を怖れるアシルに先立って佐々木が香織に寄り添い、喘ぐ口を吸いながら快楽にくたくたになった女体を隅々までいじりまわして愉悦に昂ぶらせていく。朱縄のいましめを解かれた香織は仰向けになった佐々木にかぶさって、そそり立つ怒張を命じられるまま手でしごき上げる。唇を吸われ裸身をもつれさせながら秘肉を濡らした香織は、仰向けになって開いた股間に佐々木の怒張を受け入れて深々と貫かれていく。悦びの悲鳴を放って腰を振りたてながら、香織の肉体は佐々木の抽送につれて恍惚の極みへと昇っていく。快楽に麻痺して揺さぶられるがままの美人モデルは口元に突きつけられた淳の怒張を指と舌で愛撫し、フィアンセに教え込まれていた淫らな奉仕を凌辱者の肉塊に捧げていく。香織は発情しきった雌の肉を上下から責めたてられて、激しい痙攣とともに絶頂を極めて失神する。
もはや香織は悲鳴をあげる気力さえ喪って、髪を振りたてながら重い呻きを絞り出しつつ、汗に光る肌をブルブル痙攣させるばかり。
精を絞り尽くして伸びきった香織の大の字の裸体を前にして淳と佐々木に促されても、アシルは拘束のない女を犯すことができない。淳と佐々木は蔑みもあらわにアシルを詰問して立場の逆転を企てるが、自身のサジスチックな欲望を指摘され、強力な念力とともに言い負かされる。意を決したアシルは自分の女体責めの方法を見せつけるため、二人に香織をパイプスタンドに吊り下げさせる。失神から覚め憔悴しきって泣きじゃくる香織は四肢を大の字に張り拡げて拘束され、素っ裸の白い肉を鏡に曝したまま乱れきった長い髪をガックリと胸に垂らす。弱りきって羞じらいにうなだれる全裸の美女を体に触れずに玩味してから、アシルが黒革の乗馬鞭を手に取ったとき、女体を蕩かす肉の愉悦から一転して、香織に対する地獄の責め苦が始まる。恐怖にわなないて哀訴する美女の尻にたたきつけられる一撃が凄惨な絶叫を絞り取り、さらに立て続けに打ちこまれる容赦のない打撃が白い尻肉に鞭痕を刻んで血をしぶかせる。激痛に苦鳴を噴き、死にもの狂いののたうちでスタンドの鎖をきしませながら胸を反らして泣きわめく香織。凄まじい女性憎悪の責めを見かねて制止しようとした佐々木は強力な念力で打ち倒される。慄然とする淳の前で、女の苦痛と汚辱だけを目的とする凄惨なサジズム観を語ったアシルは、淳を念力で操って拷問にも等しい女体責めに参加させる。逆らえぬまま房鞭「九尾の猫」を手にした淳は女体の前面打ちを命じられて、絶望と恐怖に眼を見開いて首を振る香織の前に立つ。柔らかに弾む乳ぶさに鞭を打ちこまれ、激痛に泣きわめいてのけぞる香織は、聞き入れられることのない断末魔の哀訴をほとばしらせながら、淳に胸を、アシルに尻を代わるがわる鞭打たれて狂乱する。前後から繰り返しおそう鞭に無防備な大の字を躍らされ、瞳の焦点を失って痙攣するだけの汗まみれの白い肉に堕ちていく香織の姿に、淳の裡で目覚める嗜虐の獣性。起伏する腹を打たれ、さらに下腹の丘を打たれて引きむしられた繊毛を散らしながら気息奄々と哀訴する香織は、アシルの鞭に背を腰を尻を打たれながら淳の鞭で繊細な内股をしばかれ、あぶら汗にまみれて声もなく呻きつつ痙攣する。体じゅうを鞭痕で覆われ血をにじませた香織の凄惨な裸形に淳が激しく昂ぶったのを見て、アシルはおのがサディズムの正しさを勝ち誇るのだった。
次々とおそいかかる激痛の嵐に、香織は失神して目覚まされ、目覚まされては失神を繰り返すふうだ。
汗とあぶらにまみれ素肌一面を鞭痕に覆われてボロ切れのようにスタンドにぶら下がった香織の屈服の裸体に、淳は激しく昂ぶり、傷だらけの乳ぶさを揉みしだいて香織の苦痛の呻きを絞り取る。気力も体力も喪失した無抵抗な女をさらに責め苛み、失神した女をたたき起こしてまで責め続けようとするアシルの狂気のサジズムが、淳の心中にも乗り移っていた。ようやく意識を取りもどして戦慄とともに見守る佐々木の前で、淳はもはや強いられることなく鞭を手に取る。髪を掴んで生気を失った香織の顔を曝し上げた淳は、傷だらけで喘ぎに弾む乳ぶさを左右交互に打ちたたき、もはや激痛に声もなく痙攣するばかりの裸体を責め続ける。焦点を失った瞳を絶望に見開き、あぶら汗に光る裸身をわななかせて苦悶にビクビクと痙る香織の凄惨な女体。後ろから股間に手を差し込まれて秘肉とアヌスをなぶられながら、香織は真っ赤に染まった乳ぶさに続いて下腹を打たれて秘肉を濡らし始める。前からの鞭打ちと後ろからのいたぶりに曝され、死の予感のなかに生への執着を示して女性器から淫液を垂れ流し始める女の肉の底知れぬ本性こそが、アシルの尽きることのない女性憎悪の源泉であった。パイプスタンドから降ろされて崩れ落ちた香織は、あらがう力もない体をレザー張りの台へ引きずられて俯伏せに押し伏せられ、四本の脚に四肢を拘束されてガックリと伸びきる。長い髪を床に垂らし、赤い尻を突き出したまま肉の道具になり下がった香織の前で、アシルは服を脱いで、凄まじい大きさに膨張した股間の怒張をさらけ出す。驚嘆に息を呑む淳と佐々木の前でアシルは香織の尻をさらに鞭打って、電気を流されたように痙攣するばかりの女体の瀕死の反応に怒張の屹立をいっそう激しくする。血を噴き出す尻を掴まれた香織は股間のあわいを巨大な剛直で割り裂かれ、激痛に凄まじい断末魔の悲鳴を噴き上げて失神する。押し込まれていく苦痛に目覚め、秘口を押し破られて鮮血を噴き、壮絶な失神と覚醒を繰り返し味わわされながら、快楽の道具となった雌の肉を串刺しにされていく女。収まりきらぬ巨大な剛直を呑まされた香織は、残酷な凶器を大きく抽送されつつ脾腹を喘がせてのたうち、声もなく失神を繰り返した果てに異界人の精を深々と射込まれて悶絶する。
これから先彼女を待ち受けている苛酷な運命のことを考えれば、現在の仮死状態が彼女にとってもっとも幸福な時といえるかもしれない。
凄惨な凌辱を終えてビールを酌み交わす三人の男たちの前で低い台にくくりつけられたまま股間から血と精液を垂れ流して伸びきっている女の無惨な肉は、幸福な結婚を控えていた和装モデルの美女が二度と出られぬ異界人の居留地でまもなく課されることになる苛酷な性の拷問を前にした、最後の安らぎの時でしかなかった。香織を居留地へ連れ帰ろうとするアシルに対し、女の凄惨な運命を予想しつつはかない抗弁を試みた淳も、急迫する状況で異界人の意向に従うほかはない。佐々木と二人がかりで香織に着物を着せた淳は、うつろな表情の美人和装モデルをアシルとともに車に乗せてホテルを連れ出す。終わることのない連続拉致凌辱の終結を望み始めた淳が車中の会話でアシルから聞き出すことができたのは、新橋と新宿に居留地を持つ異界人たちがようやく退散の機をうかがっていることと、異界人たちが当初は人目を避けるため浮浪者に変装していたという事実だけであった。淳のアパートに近づいたアシルは張り込みの警官の存在を察知し、淳に疑いを残さぬように超能力で働きかけて撤収させたうえ、これまでの凌辱の証拠の隠滅を指示してから香織を連れ去った。淳の部屋に上がった二人はアシルから渡されたビデオテープを消去し、女たちの凌辱写真と剃り取った恥毛を残らず燃やしていく。だが、灰になってゆく美女たちの名残りを前に感慨にふける佐々木とは裏腹に、妖しい光を眼に宿らせた淳は、アシルに体験させられた異界の残酷なサジズムに魂をゆさぶられていた。SM作家とSM誌の編集者は自分たちの不毛な現実の性を嘆きながら、異能のおかげで味わった一連の凌辱の経験を回想して複雑な思いに沈む。