セーラー服姿の少女がカウンターへSM雑誌をさしだした時、店のおやじはいったいどんな顔をしたことだろう。
気分転換のために取ったQホテルの一室で千種忠平が暇をもてあましているところに、さきの講演を聴いたという女からの電話が入る。プライベートでの面会を懇願するその女・河野希世子の願いを容れて、忠平はあらぬ妄想を膨らませつつ自室に希世子を迎え入れる。ヴェールをつけ喪服に身を包んだ三十代の美女は、忠平が作中で描く美貌の未亡人さながらの美しさであった。忠平のもてなしにくつろいだ希世子は、促されるまま夫と別居中の身の上を告白し、秘めてきた悩みを忠平に打ち明ける。敬虔なクリスチャンとして育てられてきた希世子は、少女時代から、宣教師に聞かされる殉教者たちの受難の物語に性的な興奮を抑えきれず、SMプレイへの淫靡な妄想を秘め隠して生きてきたのだった。おのが罪深い肉欲への背徳感に苛まれる希世子に対して、忠平はSMプレイの実践をもちかける。隠してきた欲望を突き止められ、拒む気力もなく羞じらう希世子の前に、忠平は携帯している責め具を持ち出してくる。
やがて尻を振る力さえ喪ったように打たれるがままになりながら、ヒィーッヒィーッとかぼそく泣くばかりになった。
忠平が持ち出した二本の鞭を眼にした希世子は恐怖にすくみ上がりつつ激しく羞じらう。厳しく命じられた希世子は喪服のスカートをたくし上げ、パンティを下ろして尻をさらけ出す。後ろ手に手枷を嵌められた希世子は剥き出しの白い肉に鞭を打ち込まれ、生まれて初めて知る激痛に泣き叫ぶ。乗馬鞭での激しい打擲に絶叫をほとばしらせて悶え抜く希世子は、血を噴き出させる尻の奥で秘肉を欲情に濡らしきっていた。忠平の怒張をしゃぶらされながら喪服の中に手を差し込まれ、生汗にまみれた体をなぶられる希世子。再び俯伏せになって尻をかかげた美夫人は、再開した鞭打ちにマゾ女の本性を引きずり出され、秘肉を淫液にまみれさせて悦びにのたうつ。喪服を着たままの希世子の爛れきった秘肉を背後から貫いた忠平は、快美に泣きわめく美女を荒々しく揺さぶりたて、断末魔の絶叫とともに昇りつめる女体の奥に精を射込む。だが、絶頂の瞬間に極度の興奮によって持病の狭心症の発作を誘発された忠平は、悦びをきわめて伸びきった希世子の傍らで、一転して苦悶にのたうちながら薬を口に含んで懸命に苦痛をこらえる。妄想の対象でしかなかった理想のマゾ女を現実に手に入れたSM作家は、希世子の美しい女体が自分にとって命取りになるかもしれないことを予感していた。
打たれたふくらみが激痛を訴えつつ宙に躍った。
希世子に魅了された忠平は後日、持病の発作を心配する医者の忠告も聞き流してXフロアの一室に希世子を呼び出した。スーツ姿で現れた希世子は立ち並ぶ拷問具を眼にして息を呑み、命じられるまま忠平の足元に跪いて怒張をしゃぶりながら服を脱いでいく。全裸になった希世子は部屋の中央の曝し柱に後ろ手にくくりつけられ、乳ぶさを厳しくいましめられたおのが裸体を眼前の鏡に見せつけられる。淫薬を乳ぶさに塗りたくられ、衝きあがる快楽に崩れて股間を濡らしきった希世子は、冂型のパイプスタンドに大の字に拘束され、愉悦に疼いてひりつく乳ぶさに革のブラジャーを嵌められる。二本の淫具のついた革褌を腰に装着され、淫具に塗り込められた淫薬の刺戟に腰を顫わせて身悶える希世子は、ボールギャグを噛まされて惨めに崩れた美貌を曝して泣きじゃくる。尻と背中を鞭で打ちたたかれた希世子は、苦痛を快楽に変えてのたうつマゾ女の肉体を咎めだてられ、剥き出しの乳ぶさを鞭でしばかれて絶叫とともに痙攣する。腹を腰を太腿を打ちまくられたマゾの女体は総身を顫わせて絶頂を極めた。
だが、いかに泣こうがいかに悶えようが、コントロールを失った生理現象は最後のひと切れを絞り出し、最後のひとしずくを払い終わるまで止めることは不可能なのだ。
ぐったりとなった希世子は冂字柱から解放され、肘掛け椅子に開脚座りにさせられたうえ股間に嵌り込んだ淫具をみずからの手ではずさせられる。淫らに爛れきった秘肉のありさまを指でくつろげてさらけ出した希世子は、極限の羞恥に放心しきって命じられるまま忠平の怒張をしゃぶりたてる。椅子に俯伏せに押し伏せられた希世子は尻に二百CCの浣腸をほどこされ、生まれて初めて知る妖しい快楽に身悶える。後ろ手に緊縛され首輪の鎖を曳かれてトイレに連れ込まれた希世子は、忠平の見る前で浅ましい排泄の瞬間を曝しつつ泣きわめく。尻打ち台に俯伏せにされて四肢を固定された希世子は、クリームを塗り込められたアヌスに忠平の怒張を押し込まれて苦悶の絶叫を噴き上げる。未開のアヌスに怒張を激しく抽送された美女は、マゾ女の本性をむき出しにしつつ凄まじい絶頂を極めて汗まみれの裸身を痙攣させるのだった。
ドッとどよめきが噴き上がる中に、生贄はさらけ出された羞恥を寸分隠すすべもなく、ただむなしく顔をくなくな振りたてるばかり。
「犀の会」の会員たちが招き集められたXフロア「修羅の間」で、忠平の葬儀が密やかに行われる。追悼の念よりも葬儀委員の趣向に興味をそそられて集まった者たちは、祭壇の脇に横たえられたキ字柱を見て期待を昂ぶらせる。忠平のSM作家としての生前の業績を回顧しつつ会葬と献花の儀式が終わると、忠平の愛人であった河野希世子が湯文字一枚に剥かれて緊縛された裸身を非人の装束をした男に曳かれて現れる。忠平の遺影を目の当たりにして崩れ落ちた希世子は、淫らな肉への懲罰として青竹を腰に打ち込まれて悲痛に泣き叫ぶ。縛めを解かれた美女は磔柱に大の字に縛りつけられ、観念しきって瞑目した体を高々と掲げ立てられる。湯文字を引きむしられて秘肉を曝した希世子は、秀一郎と会員有志によって股間の繊毛を剃り取られ、亡き忠平への捧げものにされる。剃毛にかこつけて代わるがわるいじりまわされる秘肉から淫液を垂れ流しつつ下腹を剃りあげられた希世子は、先端に淫具を取りつけた槍を非人の手で股間に突き立てられていく。汗まみれの裸身を串刺しにされ、淫らに爛れて濡れそぼつ秘肉を槍で突きまくられた希世子は、絶えだえの悲鳴を噴き上げながら空中高くよがり歔いて、絶頂を極めるとともに股間から生理の血を垂れ流すのだった。
最後の河野希世子はただ一人割れ目を堂々と剥き出しにして、蝟集する男たちの頭上に超然とした眼を向けている。
「鳳凰の間」で開かれる「犀の会」の例会には、会員が調教した四人の女を奴隷として売買する宴が企画された。ステージの前に四本の曝し柱を立てた台が設置されている大広間で会員の男たちが立食パーティーに興じているのとは対照的に、ステージ裏の仕度部屋で出品の準備をほどこされている四人の女たちは屈辱と恐怖に慄えわなないていた。堀江謙介によって妻の身代わりに売りに出されることになった女子大生立松由紀枝、佐古貞義の手で調教され尽くした銀座のママ三谷佑子、秀一郎と華英の愛玩物に堕ちた人妻小杉眉子、そして亡き千種忠平の愛人で渋谷のフランス料理店オーナー河野希世子。腰に布一枚だけをまとったあられもない半裸をそれぞれに緊縛された奴隷たちは、期待に昂ぶる会員たちの前で、スポットライトに照らしあげられたステージに縄を曳かれて連れ出される。気も遠くなる羞恥のなかでそれぞれの高貴な素性を暴かれ、奴隷に堕ちた肉を衆目に曝してうなだれる女たちは、一列にならんだ曝し柱にくくりつけられて、腰の布を一斉に取り去られる。羞じらい身悶える女体を取り巻いて、会員たちの熱気と興奮に満ちた視線はあからさまになった女たちの下腹へと集中していく。
後ろ手にいましめられた白裸をすくめ切ってよろめき曳かれていく希世子の姿は緋色の絨緞によく映えた。
会員たちの熱気覚めやらぬなか、佐古の意向で非売品とされた佑子を除く三人の女が競売にかけられる。「桃苑会」の例会に出席したことがきっかけで恋人に裏切られ、谷口外志夫の手に渡ったのち堀江謙介に調教された女子大生の立松由紀枝は、三十万円で白髪の老人に買い取られ、美しい人妻の小杉眉子は六十五万円で競り落とされて連れ去られた。続いて売りに出された河野希世子は、パトロンとして今後の生活一切の面倒を見るという条件のもとで、三百万円で落札される。希世子の新たな主人となったのは、かねてから希世子に横恋慕して言い寄っていた産婦人科医の垣内であった。思いもかけなかった屈辱に悲痛な悲鳴をほとばしらせる希世子は、一枚の着衣も許されぬまま、見守る一同のなかを垣内に曳かれて去る。ビデオカメラを構えた二人の男が、惨めに曳かれていく希世子の姿を記録しながら後に従った。
希世子は鞭打たれて号泣し、ディルドォを抽送されて号泣した。
「犀の会」と「雅会」の合同パーティーでかねてから面識のあった弁護士の日野に買い取られた眉子は、後ろ手縛りの裸身をプレイルームの天井から吊られて陰湿な吟味を受ける。慇懃な言葉づかいで裸体を批評されなぶり抜かれた眉子は、最後に残ったスキャンティを剥き下ろされて羞じらいにのたうつ。眉子の下腹に顔を埋めて汗に湿った秘肉をまさぐった日野は、片脚に掛けた縄を吊り上げて眉子を片脚立ちにさせる。隠すこともできない秘裂をいたぶられた眉子は、淫液に濡れた日野の指をアヌスに突き立てられて錯乱の悲鳴を噴き上げる。
垣内によって忠平が息絶えた部屋へ連れ込まれた希世子は、後ろ手の裸身を天井から爪先立ちに吊り下げられ、部屋の中までカメラを持ってついてきた男たちの前に曝される。垣内は希世子を買い受けるために出した三百万円を、「犀の会」会員の速水と小田と共同で出し合っていたのだ。三人の男の情婦として生きるこの先の人生を思って屈辱に泣きむせぶ希世子は、下肢を拡げて床に固定され、顔を伏せられないように髪を吊られた恥辱の表情をカメラに曝しながら、尻に鞭をたたき込まれる。乳ぶさをなぶられながら代わるがわる鞭打たれて泣き叫ぶ希世子。乳首を噛まれ、肉芽を擦られ、秘肉に淫具を抽送されながら尻を激しくしばき上げられた希世子は、忠平への想いを胸に抱きつつ断末魔の痙攣とともに昇りつめた。
喘ぎ泣く口元を小突きまわされ、尻の穴を刺戟され、死ぬほどつらいいたぶりを子宮に加えられて、希世子の最後の意地も折れた。
奴隷競売の宴が果てた後の深夜、売り飛ばされた女たちのその後の境遇に思いを馳せて悶々としていたフロア・チーフの田辺良平の前に、いきり立った男がナイフを手にして現れる。眉子の不行跡を知って逆上した夫の小杉清志が、妻の乱倫の現場を押さえるために乗りこんで来たのだ。凶暴さを剥き出しにした清志に逆らうこともできぬまま、良平が清志をプレイ・ルームに案内すると、跪いて日野の怒張をしゃぶりたてていた眉子は、夫を眼にした驚愕のあまり失神する。清志は日野と良平を縛りあげ、全裸の妻の白い肉体に見境のない暴行を加えていく。体中を蹴りまくられた眉子は首に縄を掛けられてスツールの上に立たされ、絞首の恐怖で脅迫される。命乞いの悲鳴を噴き上げつつ夫への隷属を誓った眉子は、清志のナイフで両の尻たぼに「K」の字を刻み込まれる。吊りから降ろされた眉子は夫の足元に跪き、その怒張をしゃぶりたててマゾの恍惚へと没入していくのだった。
開脚椅子にMの字開脚で縛りつけられた希世子は、あからさまに曝した秘肉に膣開口器を差し込まれ、大きくくつろげられて濡れそぼった体腔の奥を三人の男たちに覗き込まれる。屈辱に泣きむせびながら膣の中を小突きまわされる希世子は、アヌスに埋めこまれたバイブレーターの振動を入れられて、淫液を吐き出しつつ悶えのたうつ。隷従を誓う希世子の口の中に男たちは次々と怒張を咥え込ませ、奉仕させながら絶頂を極めさせる。くたくたになった体をベッドに運ばれた希世子を待っていたのは三人がかりの凌辱だった。仰向けに横たわった垣内の腰にまたがらされて貫かれた希世子は、背後から身を寄せた速水に尻を犯され、前後から荒々しくゆさぶられる。絶えだえの喜悦の歔き声を噴いてのたうつ希世子の口に、小田が怒張をねじ込む。三人の男を受け入れさせられながら、希世子は無上のマゾの悦びに昇りつめていった。
上流階級の者たちにのみ許された快楽の楽園ともいうべきXフロアで、マゾ奴隷となった女たちは夜毎の荒淫にまみれて肉の快楽を貪っていくのだった。